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空き家を放置しないための管理方法を徹底解説|自主管理と委託の選択肢

空き家を放置しないための管理方法を徹底解説|自主管理と委託の選択肢のアイキャッチ

空き家を所有していると、「遠方で見に行けない」「管理の手間が重い」「雑草や老朽化で近隣から苦情が来ないか不安」など、悩みが尽きません。適切な管理を怠ると、建物の劣化が進むだけでなく、行政から指導を受けるリスクも高まります。

国土交通省の資料でも、管理不全な空き家は倒壊や衛生・景観の悪化などにつながり、周辺環境へ悪影響を及ぼす可能性があるとされています。 また、総務省の統計では、2023年の空き家数は全国で約900万戸と過去最多です。

本記事では、空き家管理の基本から、自分で行う具体的な手順(換気・通水・清掃・点検)と、専門業者へ委託する場合のサービス内容・費用相場・選び方までを整理して解説します。自主管理と委託管理のどちらが自分に適しているか判断できるよう、比較ポイントもあわせてお伝えします。

出典:総務省|令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果

 

この記事でわかること

この記事では、空き家管理に関する重要なポイントを網羅的に解説しています。以下の内容を順を追って理解することで、あなたの空き家に最適な管理方法が見つかるはずです。

まず、空き家管理がなぜ必要なのか、その基本的な考え方と放置した場合のリスクについて解説します。次に、自分で管理を行う場合の具体的な手順として、必要な持ち物から換気・通水・清掃の方法、建物の点検ポイントまでを詳しくお伝えします。

続いて、空き家管理を専門業者に委託する方法についても触れます。管理サービスの内容や費用相場、信頼できる業者を選ぶための基準を明確にしています。さらに、自主管理と委託管理それぞれのメリット・デメリットを比較し、どちらが自分に合っているかを判断するための基準をご紹介します。

最後に、空き家を維持するために必要な費用の全体像と、管理が難しくなった場合の選択肢についても解説します。売却や賃貸活用の可能性も含め、将来を見据えた判断材料を提供します。

 

空き家管理の基本と必要性

空き家管理の基本と必要性の要約画像

空き家管理とは、人が住んでいない建物の状態を適切に維持するための一連の活動を指します。管理を怠ると建物の劣化が急速に進み、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

空き家は人が住んでいる家と比べて、驚くほど早く傷んでいきます。定期的な換気や通水が行われないと、湿気がこもり、カビの発生や木材の腐食が進行します。また、不法侵入や放火のターゲットになりやすく、近隣住民への悪影響も懸念されます。適切な管理を行うことで、これらのリスクを大幅に軽減し、将来的な売却や活用の選択肢を広げることができます。

空き家管理が必要な理由

空き家管理が必要な最大の理由は、建物の資産価値を維持するためです。人が住まなくなった家は、想像以上のスピードで劣化が進みます。定期的なメンテナンスを行わなければ、数年で売却困難な状態になることも珍しくありません。

建物は人が住むことで自然と換気や掃除が行われ、水回りも定期的に使用されます。しかし、空き家ではこれらの活動がなくなるため、湿気がこもりやすくなります。特に日本の高温多湿な気候では、わずか数ヶ月の放置でもカビが発生し、畳や壁紙にダメージを与えることがあります。

また、空き家は犯罪の温床になりやすいという問題もあります。不法侵入者や放火犯のターゲットになるリスクがあり、実際に空き家が原因で近隣に延焼した事例も報告されています。こうした事態を防ぐためにも、定期的な管理によって人の目が入る状態を維持することが重要です。

さらに、相続した空き家を放置することは、次世代への負担を増やすことにもつながります。適切な管理を行い、売却や活用がしやすい状態を保つことで、将来の選択肢を広げることができます。

管理を怠った場合のリスク

空き家の管理を怠った場合、まず直面するのは建物自体の急速な劣化です。雨漏りが発生すると構造材が腐食し、修繕費用が数百万円に膨らむケースもあります。シロアリ被害も深刻で、発見が遅れると建物全体の強度に影響を及ぼします。

近隣トラブルも見過ごせないリスクです。雑草が繁茂すると害虫が発生しやすくなり、周辺住民からの苦情につながります。庭木が隣家に越境したり、落ち葉が排水溝を詰まらせたりする問題も起こりえます。こうしたトラブルは、一度こじれると解決に多大な時間と労力を要することがあります。

経済的なリスクも無視できません。老朽化した外壁や塀が倒壊し、通行人や隣家に被害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を負う可能性があります。実際に、空き家の瓦が飛散して隣家の車を傷つけ、修理費用を請求された事例も存在します。

最も深刻なリスクは、行政から特定空き家に指定されることです。この指定を受けると、固定資産税の優遇措置が解除され、税額が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。改善命令に従わない場合は、行政代執行による強制解体が行われ、その費用も所有者に請求されます。

特定空き家に指定される条件

特定空き家とは、2015年に施行された空家等対策特別措置法に基づいて市区町村が指定する危険な空き家のことです。この指定を受けると、さまざまなペナルティが課されるため、事前に条件を理解しておくことが重要です。

特定空き家に指定される条件は主に4つあります。第一に、建物の倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態です。屋根や外壁が大きく破損している場合や、基礎が著しく傾いている場合がこれに該当します。

第二に、著しく衛生上有害となるおそれのある状態です。ゴミが放置されて悪臭を放っている場合や、害虫・害獣が大量発生している場合が当てはまります。第三に、適切な管理が行われないことで著しく景観を損なっている状態です。雑草や庭木が異常に繁茂し、地域の美観を著しく損ねている場合が該当します。

第四に、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態です。不法侵入者が住み着いている場合や、火災発生のリスクが高い状態などがこれに含まれます。これらの条件に一つでも該当する可能性がある場合は、早急に管理体制を見直す必要があります。

 

空き家を自分で管理する方法

空き家の自主管理は、費用を抑えながら建物の状態を直接確認できるというメリットがあります。ただし、効果的な管理を行うためには、正しい手順と必要な道具を把握しておくことが欠かせません。

自主管理を成功させるポイントは、定期的な訪問と効率的な作業手順です。一回の訪問で換気・通水・清掃・点検をすべて完了できるよう、事前に準備を整えておきましょう。特に遠方に住んでいる場合は、訪問回数を最適化しながら必要な管理を確実に行うことが重要です。

関連記事:空き家維持管理の基本ガイド|劣化・税金・近隣トラブルを防ぐ管理のコツ

管理に必要な持ち物と服装

空き家管理を効率的に行うためには、必要な道具を事前に揃えておくことが大切です。現地に着いてから足りないものに気づくと、作業効率が大幅に低下します。基本的な持ち物をリスト化し、訪問前にチェックする習慣をつけましょう。

まず必須となるのは、掃除道具一式です。ほうき、ちりとり、雑巾、バケツ、ゴミ袋は最低限用意してください。掃除機があればより効率的ですが、電気が止まっている場合は使用できないため注意が必要です。窓やサッシの汚れを落とすためのスクイージーや新聞紙も役立ちます。

次に、点検用の道具として懐中電灯とカメラを用意しましょう。屋根裏や床下など暗い場所を確認する際に懐中電灯は必須です。カメラは建物の状態を記録するために使用し、前回の訪問時と比較することで変化に気づきやすくなります。スマートフォンのカメラでも十分ですが、撮影日時が自動記録される設定にしておくと便利です。

服装については、汚れても良い動きやすいものを選びましょう。長袖・長ズボンを着用し、軍手を持参してください。特に夏場は害虫対策として虫除けスプレーも必携です。靴は滑りにくい運動靴がおすすめで、庭の手入れを行う場合は長靴も用意しておくと安心です。

換気・通水・清掃の手順

空き家管理の基本作業は、換気・通水・清掃の3つです。これらを正しい手順で行うことで、建物の劣化を効果的に防ぐことができます。到着後すぐに換気を始め、作業終了まで継続することがポイントです。

換気は、すべての窓と扉を開けて行います。風の通り道を作るために、対角線上にある窓を開けると効率的です。押し入れや収納スペースの扉も忘れずに開放してください。湿気がこもりやすい場所ほど、しっかりと空気を入れ替えることが重要です。換気の時間は最低でも30分、できれば1時間程度確保しましょう。

通水は、すべての蛇口から水を流す作業です。キッチン、浴室、洗面所、トイレなど、水回りの設備すべてで行います。各蛇口から1〜2分程度水を流すことで、排水管内のトラップに溜まっている水を新鮮なものに入れ替えます。この作業を怠ると、トラップの水が蒸発して下水の臭いが室内に侵入する原因になります。トイレは必ず水を流し、タンク内の水も入れ替えてください。

清掃は、室内の埃取りと床の掃除が中心です。まず天井や壁の埃をはたきで落とし、その後床を掃きます。畳の部屋がある場合は、カビの発生がないか注意深く確認してください。玄関や窓周りは外部からの砂埃が溜まりやすいため、重点的に清掃しましょう。

建物内外の点検ポイント

定期的な点検は、問題の早期発見と修繕費用の抑制につながります。チェックすべきポイントを把握し、毎回同じ項目を確認することで、変化に気づきやすくなります。点検結果は写真とメモで記録し、時系列で管理しておきましょう。

室内の点検では、まず天井にシミがないか確認します。天井のシミは雨漏りのサインであり、発見したら早急に対処が必要です。壁や床のひび割れ、窓やドアの開閉具合もチェックしてください。建物が傾いていると、窓やドアの動きが悪くなることがあります。また、室内に虫の死骸やネズミの糞がないかも確認しましょう。

屋外の点検では、屋根と外壁の状態を目視で確認します。瓦のずれや割れ、雨樋の詰まりや破損は雨漏りの原因になります。外壁のひび割れや塗装の剥がれも見逃さないでください。基礎部分にひびが入っていないかも重要なチェックポイントです。

庭や敷地の点検も欠かせません。雑草の繁茂状況、庭木の枝が隣家に越境していないか確認します。排水溝が落ち葉で詰まっていると、雨水が溜まって建物に悪影響を与えることがあります。フェンスや門扉の状態、郵便受けに不審物がないかも併せてチェックしてください。

適切な管理頻度の目安

空き家管理の頻度は、建物の状態や立地条件によって異なりますが、一般的には月に1回以上の訪問が推奨されています。この頻度を維持することで、多くの問題を早期に発見し、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。

月1回の管理が理想的な理由は、建物の変化サイクルと密接に関係しています。湿気によるカビの発生や害虫の繁殖は、1ヶ月程度で目に見える状態になることが多いためです。また、不法侵入者が住み着くケースでも、月1回の訪問があれば早期に発見できる可能性が高まります。

季節によって管理のポイントは異なります。梅雨時期は特に換気を重視し、カビの発生を防ぐ必要があります。夏場は雑草の成長が早いため、庭の手入れを強化しましょう。秋は落ち葉の処理が重要で、排水溝の詰まりを防ぐために清掃頻度を上げることをおすすめします。冬場は水道管の凍結対策として、水抜きが必要な地域もあります。

遠方に住んでいて月1回の訪問が難しい場合は、最低でも2〜3ヶ月に1回は訪問するよう心がけてください。それ以上間隔が空く場合は、専門業者への委託を検討することをおすすめします。管理頻度が低いほど、一度の訪問で発見する問題が増え、対処が大変になる傾向があります。

 

空き家管理を委託する方法

自分で空き家を管理する時間や労力が確保できない場合は、専門業者への委託を検討しましょう。プロに任せることで、定期的かつ専門的な管理が実現し、遠方に住んでいても安心して建物を維持できます。

管理業者には、不動産会社が提供するサービスから専門の空き家管理会社まで、さまざまな選択肢があります。サービス内容や費用は業者によって異なるため、複数の会社を比較検討することが重要です。自分のニーズに合った業者を選ぶことで、コストパフォーマンスの高い管理を実現できます。

管理サービスの内容

空き家管理サービスの内容は、業者によって大きく異なります。基本的なプランから充実したプランまで複数の選択肢が用意されていることが多いため、自分の空き家の状況に合ったサービスを選ぶことが大切です。

基本的な管理サービスには、定期巡回と目視点検が含まれます。月に1回程度、スタッフが空き家を訪問し、建物内外の状態を確認します。窓や扉の施錠確認、外壁や屋根の目視点検、郵便物の回収などが一般的な作業内容です。点検結果は写真付きの報告書として提出されることが多く、離れた場所からでも空き家の状態を把握できます。

より充実したプランでは、換気・通水・清掃といった室内管理まで含まれます。窓を開けて空気を入れ替え、すべての水回りで通水を行い、簡単な清掃を実施します。庭の草刈りや樹木の剪定がオプションで用意されている場合もあります。

緊急対応サービスを提供している業者もあります。台風や地震の後に緊急点検を行ったり、近隣からの連絡があった場合にすぐに現地確認を行ったりするサービスです。遠方に住んでいて迅速な対応が難しい場合は、このようなサービスがあると安心です。

費用相場と料金体系

空き家管理サービスの費用相場は、月額5,000円から15,000円程度が一般的です。この金額はサービス内容や地域、建物の規模によって変動します。複数の業者から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することをおすすめします。

料金体系は主に3つのタイプに分かれます。第一に、月額定額制があります。毎月一定の金額で決められたサービスを受けられるため、費用の見通しが立てやすいのが特徴です。巡回回数や作業内容によってプランが分かれていることが多く、必要に応じて選択できます。

第二に、都度払い制があります。巡回1回あたりの費用が設定されており、必要なときだけ依頼できます。管理頻度を自分でコントロールしたい場合に適していますが、月額制と比較すると1回あたりの単価が割高になる傾向があります。

第三に、年間契約制があります。1年分の費用をまとめて支払うことで、月額払いよりも割引が適用されるケースがあります。長期的に管理を委託する予定がある場合はお得ですが、途中解約時の返金条件は事前に確認しておきましょう。

基本料金以外に発生する費用についても把握しておくことが重要です。庭の草刈りや樹木の剪定、特別清掃などはオプション料金となることが多いです。また、初期費用として鍵の預かり料や事務手数料が必要な場合もあります。

信頼できる業者の選び方

信頼できる空き家管理業者を選ぶことは、安心して建物を任せるために最も重要なポイントです。業者選びで失敗すると、杜撰な管理によって建物が劣化したり、報告が曖昧で状況が把握できなかったりする問題が発生します。以下のポイントを参考に、慎重に業者を選定してください。

まず確認すべきは、業者の実績と信頼性です。設立からの年数や管理件数、スタッフの経験値などを問い合わせましょう。地域密着型の業者は、その地域の特性を熟知していることが多く、きめ細かな対応が期待できます。可能であれば、実際に管理を依頼している利用者の口コミや評判も参考にしてください。

報告体制の充実度も重要な判断基準です。巡回後にどのような報告を受けられるのか、写真付きの報告書があるのか、報告の頻度やタイミングはどうなっているのかを確認しましょう。報告が曖昧な業者は、実際の作業も杜撰である可能性があります。問題が発見された場合の連絡体制も事前に確認しておくと安心です。

契約内容の明確さにも注目してください。サービス内容、料金体系、解約条件などが契約書に明記されているか確認しましょう。口頭での説明と契約書の内容に相違がないかも重要なチェックポイントです。不明点があれば遠慮なく質問し、納得してから契約することが大切です。

 

自主管理と委託管理の比較

自主管理と委託管理の比較の要約画像

空き家の管理方法を選ぶにあたって、自主管理と委託管理のどちらが適しているかは、個人の状況によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分に合った方法を選択しましょう。

判断にあたっては、空き家までの距離、確保できる時間、管理に対する知識や経験、費用対効果など、複数の要素を総合的に考慮する必要があります。どちらか一方に固執するのではなく、状況に応じて柔軟に対応することも選択肢の一つです。

自主管理のメリット・デメリット

自主管理の最大のメリットは、管理費用を抑えられることです。業者に委託する場合と比較すると、年間で数万円から10万円以上の節約になることもあります。交通費やガソリン代は必要ですが、それでも委託費用よりは安くなるケースがほとんどです。

また、自分の目で直接建物の状態を確認できることも大きなメリットです。第三者を介さずに状況を把握できるため、小さな変化にも気づきやすくなります。思い入れのある実家を自分の手で管理したいという気持ちを持つ方にとっては、精神的な満足感も得られるでしょう。

一方で、デメリットもあります。最も大きいのは、時間と労力がかかることです。遠方に住んでいる場合、移動だけで半日以上かかることもあり、仕事や家庭との両立が難しくなります。体力的な負担も無視できません。高齢になるにつれて、定期的な訪問がより困難になっていきます。

専門的な知識がないと見落としが生じる可能性もあります。雨漏りの前兆や構造的な問題は、素人には判断が難しいことがあります。問題を発見しても、自分で対処できない場合は結局業者に依頼することになり、初期対応が遅れるリスクがあります。

委託管理のメリット・デメリット

委託管理の最大のメリットは、専門家による確実な管理が受けられることです。定期的な巡回と点検が保証され、問題の早期発見・早期対処が可能になります。特に建物の専門知識を持つスタッフが担当する場合は、自主管理では気づきにくい問題も発見してもらえます。

時間と労力を節約できることも大きな利点です。遠方に住んでいる場合や仕事が忙しい場合でも、定期的な管理が継続されます。緊急時の対応を任せられる業者を選べば、台風や地震の後も迅速な確認が可能です。精神的な負担も軽減され、空き家のことを常に心配する必要がなくなります。

デメリットとしては、まず費用がかかることが挙げられます。月額数千円から1万円以上の費用が継続的に発生するため、年間で見ると相当な金額になります。将来的に売却や解体を予定している場合は、管理費用の総額と資産価値を比較検討する必要があります。

業者選びを誤ると期待した効果が得られないリスクもあります。報告が形式的で実態が把握できなかったり、作業が杜撰で問題が見過ごされたりするケースも存在します。信頼できる業者を選ぶための情報収集と比較検討には、それなりの手間がかかります。

自分に合った管理方法の判断基準

自主管理と委託管理のどちらを選ぶべきかは、いくつかの判断基準に照らして検討すると明確になります。自分の状況を客観的に分析し、無理のない選択をすることが、長期的な管理成功の鍵です。

最も重要な判断基準は、空き家までの距離と訪問にかかる時間です。片道1時間以内であれば自主管理も現実的ですが、2時間以上かかる場合は訪問自体が大きな負担になります。移動時間と作業時間を合わせると、1回の管理で丸一日が必要になることも珍しくありません。

確保できる時間と頻度も重要です。月に1回以上の訪問が継続的に可能かどうかを冷静に判断してください。仕事や家庭の都合で訪問が不定期になりがちな場合は、委託管理の方が確実です。「月に1回くらいなら大丈夫」と思っていても、実際には3ヶ月、半年と訪問が空いてしまうケースは多いです。

建物の状態と今後の予定も考慮すべきです。築年数が古く、定期的なチェックが重要な建物であれば、専門家の目による点検が安心です。一方で、近い将来売却や解体を予定している場合は、最小限の管理で費用を抑えるという選択もあります。コストと効果のバランスを見極めながら判断しましょう。

 

空き家管理にかかる維持費の全体像

空き家を所有していると、管理費用以外にもさまざまな維持費が発生します。これらの費用を正確に把握しておくことで、将来的な資金計画を立てやすくなり、売却や活用の判断材料にもなります。

維持費は大きく分けて、税金、光熱費・保険料、修繕費・管理費の3つのカテゴリーに分類できます。それぞれの費用を合算すると、年間で数十万円になることも珍しくありません。空き家を保有し続けるコストを正しく理解し、計画的な対応を心がけましょう。

固定資産税・都市計画税

空き家を所有している限り、毎年必ず発生するのが固定資産税と都市計画税です。これらの税金は、建物と土地の両方に対して課税されます。市区町村によって税率は異なりますが、固定資産税は評価額の1.4%、都市計画税は0.3%程度が一般的です。

住宅が建っている土地には、住宅用地の特例措置が適用されます。この特例により、200平方メートル以下の部分は固定資産税が6分の1に、200平方メートルを超える部分は3分の1に軽減されます。空き家でもこの特例は適用されますが、特定空き家に指定されると特例が解除され、税額が大幅に増加する可能性があります。

具体的な税額は、土地と建物の評価額によって異なります。郊外の一戸建てであれば年間10万円程度、都市部の物件であれば20万円から30万円以上になることもあります。毎年送られてくる納税通知書を確認し、正確な金額を把握しておきましょう。

税金は空き家を所有している限り毎年発生するため、長期間保有するほど負担は累積します。10年間保有すれば100万円以上の税金を支払うことになるケースも多く、この金額を念頭に置いて今後の方針を検討することが重要です。

光熱費・保険料

空き家であっても、電気・水道・ガスの契約を維持している場合は基本料金が発生します。管理のために換気や通水を行うのであれば、最低限の契約は必要です。特に水道は凍結防止のために契約を維持することが多く、月額1,000円から2,000円程度の基本料金がかかります。

電気も契約していれば、使用量に関わらず基本料金が発生します。セキュリティシステムを設置している場合や、定期的に訪問して電気を使用する場合は契約を維持する必要があります。月額料金は契約アンペア数によって異なりますが、1,000円から2,000円程度が目安です。

火災保険への加入は空き家でも必須といえます。空き家は火災リスクが高いとされており、万が一火災が発生した場合の損害は甚大です。空き家専用の火災保険に加入する必要があり、保険料は通常の住宅用保険よりも割高になる傾向があります。年間保険料は建物の構造や補償内容によって異なりますが、数万円から10万円程度を見込んでおきましょう。

地震保険への加入も検討すべきです。地震による建物の損壊は火災保険では補償されないため、地震リスクのある地域では別途加入が推奨されます。保険料は地域と建物構造によって大きく異なります。

修繕費・管理委託費

建物を維持するためには、定期的な修繕が必要です。修繕費は建物の状態によって大きく変動しますが、年間で10万円から30万円程度を予備費として確保しておくことをおすすめします。大規模な修繕が必要になった場合は、100万円以上の費用がかかることもあります。

経年劣化によって発生しやすい修繕項目としては、屋根や外壁の補修、雨樋の交換、水回り設備の修理などがあります。築20年を超えると、これらの箇所に問題が発生する頻度が高まります。定期的な点検で早期発見し、小さな修繕で済むうちに対処することが、長期的なコスト削減につながります。

管理を業者に委託する場合は、月額5,000円から15,000円程度の管理委託費が発生します。年間に換算すると6万円から18万円程度になります。オプションサービスを追加するとさらに費用が増加しますが、自分で訪問する交通費や時間コストと比較して判断してください。

庭の手入れ費用も見落としがちな項目です。草刈りや樹木の剪定を業者に依頼する場合、1回あたり1万円から3万円程度の費用がかかります。年に2回から3回程度の作業が必要なため、年間で数万円の費用を見込んでおく必要があります。

管理が難しい場合の選択肢

さまざまな事情で空き家の管理が難しくなることがあります。そのような場合は、管理を続けることだけが選択肢ではありません。売却や賃貸活用、管理会社の変更など、状況に応じた対応を検討しましょう。

重要なのは、問題を放置しないことです。管理ができない状態が続くと、建物の劣化が進み、結果的に資産価値が大幅に下落します。早めに対策を講じることで、損失を最小限に抑えることができます。

売却を検討するタイミング

空き家の売却を検討すべきタイミングとして、まず管理負担が限界に達した場合が挙げられます。自分で管理する時間や体力がなく、委託費用も負担に感じる場合は、売却によってこれらの問題を根本的に解決できます。売却益で他の資産形成を行うという選択肢もあります。

維持費が資産価値を上回ってきた場合も、売却を真剣に検討すべきです。毎年発生する固定資産税や保険料、修繕費を合算し、将来にわたる総額を計算してみてください。売却によって得られる金額と比較し、保有し続けるメリットがあるかを判断しましょう。

建物の老朽化が著しく進んでいる場合も、早めの売却が賢明かもしれません。放置すると更地にするための解体費用がかさみ、売却してもほとんど手元に残らないケースもあります。建物がまだ使用可能な状態であれば、リフォーム前提で購入する買い手が見つかる可能性があります。

相続などで複数の所有者がいる場合は、意見がまとまりにくく管理が滞りがちです。関係者全員で話し合い、早期に売却して現金化することで、トラブルを未然に防ぐことができます。空き家の放置は次世代への負担を増やすことにもなるため、責任を持って判断することが大切です。

賃貸活用の可能性

空き家を売却せずに収益を得る方法として、賃貸活用があります。建物の状態が良好であれば、リフォームを行って賃貸物件として運用することで、維持費を賄いながら資産を保有し続けることが可能です。立地条件によっては、安定した家賃収入を得られることもあります。

賃貸活用を検討する際は、まずエリアの賃貸需要を調査しましょう。周辺に賃貸物件がどの程度あり、空室率はどの程度かを確認します。不動産会社に相談すれば、想定賃料の目安も教えてもらえます。リフォーム費用と想定家賃収入を比較し、投資として成り立つかを判断してください。

賃貸活用には、管理の手間も伴います。入居者の募集、賃貸契約の締結、家賃の回収、トラブル対応など、オーナーとしての責任が発生します。これらの業務を管理会社に委託することもできますが、管理手数料として家賃の5%から10%程度が必要です。

築年数が古い場合や立地が不便な場合は、通常の賃貸ではなく、シェアハウスや民泊としての活用も選択肢になります。ただし、これらの運用には専門的な知識と許認可が必要なため、事前に十分な情報収集を行ってください。

管理会社の変更手順

現在依頼している管理会社に不満がある場合は、別の業者への変更を検討しましょう。報告が曖昧、作業が杜撰、連絡が取りにくいなどの問題がある場合は、早めに対処することが重要です。管理会社を変更することで、これらの問題が解消される可能性があります。

変更の手順として、まず現在の契約内容を確認してください。解約に必要な予告期間や違約金の有無を把握し、スムーズに移行できるタイミングを見極めます。契約書が見当たらない場合は、管理会社に問い合わせて確認しましょう。

次に、新しい管理会社を選定します。複数の業者から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討してください。実際に担当者と面談し、報告体制や緊急時の対応について詳しく確認することをおすすめします。前の業者で不満だった点を具体的に伝え、改善できるかどうかを確認しましょう。

新しい業者が決まったら、現在の管理会社に解約の連絡を行います。鍵の返却や書類の引き継ぎなど、必要な手続きを確認してください。新旧の業者間で引き継ぎが円滑に行われるよう、必要に応じて両者を仲介することも考慮しましょう。変更後は、新しい業者の対応を注意深く確認し、問題があれば早めに指摘することが大切です。

 

まとめ

空き家の管理は、建物の資産価値を維持し、さまざまなリスクを回避するために欠かせません。管理を怠ると、建物の劣化が急速に進み、特定空き家に指定されるリスクも高まります。適切な管理を継続することで、将来的な売却や活用の選択肢を広げることができます。

自主管理を行う場合は、月に1回以上の定期的な訪問を心がけ、換気・通水・清掃・点検を確実に実施してください。必要な道具を揃え、チェックリストに沿って作業を行うことで、効率的かつ効果的な管理が可能になります。季節ごとの注意点も把握し、建物の状態に応じた対応を行いましょう。

自分で管理する時間や労力が確保できない場合は、専門業者への委託を検討してください。信頼できる業者を選ぶことで、遠方に住んでいても安心して建物を維持できます。業者選びでは、実績・報告体制・契約内容を慎重に確認し、複数の会社を比較検討することが重要です。

空き家の維持には、管理費用以外にも固定資産税や保険料、修繕費など、さまざまなコストがかかります。これらの費用を正確に把握し、売却や賃貸活用といった選択肢も含めて、総合的に判断することが大切です。管理が難しくなった場合は、問題を放置せず、早めに対策を講じることで損失を最小限に抑えることができます。

この記事を参考に、あなたの空き家に最適な管理方法を見つけてください。適切な管理を行うことで、空き家は負担ではなく、大切な資産として守り続けることができます。