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サブリース契約トラブルの実態と対処法を徹底解説|オーナー必読ガイド

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不動産経営における「サブリース契約」は、空室リスクを回避し安定した家賃収入が期待できるとして、多くのオーナーに利用されています。しかし、その一方で「家賃が一方的に減額された」「解約したくてもできない」といった深刻なトラブルが後を絶ちません。なぜ、このような問題が起きてしまうのでしょうか。

この記事では、サブリース契約の基本的な仕組みから、実際に多発しているトラブルの具体的な事例、そして契約がもたらす本質的なデメリットまでを深く掘り下げて解説します。さらに、万が一トラブルに直面した際の法的な解約方法や、そもそも問題を未然に防ぐための対策についても、専門的な視点から具体的にご紹介します。

サブリース契約に不安を抱えている方、これから契約を検討している方はもちろん、すでにトラブルの渦中にいる方にとっても、この記事が状況を打開するための一助となるはずです。安心して不動産経営を続けるための知識を身につけていきましょう。

この記事でわかること

この記事では、サブリース契約の基本的な仕組みや、一般的な管理委託契約との違いから、「家賃保証」をめぐる誤解、賃料減額・解約拒否・高額な違約金といった代表的なトラブル事例までを整理して解説します。

あわせて、サブリース契約が本質的に抱えているリスクやデメリット、契約を見直したいときの法的な解約の考え方・手順、トラブルを未然に防ぐための契約前チェックポイント、定額制管理サービスなど他の選択肢との比較も紹介します。サブリース契約とどう付き合うべきかを、オーナー視点で判断できるようになることがゴールです。

サブリース契約の基本概要

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サブリース契約に関するトラブルを理解し、適切に対処するためには、まずその契約の基本的な仕組みを正しく知ることが不可欠です。ここでは、サブリース契約とは何か、一般的な管理委託契約と何が違うのか、そして契約の種類ごとの特徴について分かりやすく解説します。

これらの基礎知識は、契約書に潜むリスクを見抜くための重要な土台となります。一見複雑に見えるかもしれませんが、ポイントを押さえれば誰でも理解できる内容ですので、じっくりと読み進めてください。

サブリース契約とは

サブリース契約のポイントは、不動産会社がオーナーから物件を一括で借り上げ、それを第三者である入居者に転貸(又貸し)するという仕組みにあります。この契約形態は「特定賃貸借契約」とも呼ばれ、不動産経営における一つの手法として広く利用されています。

オーナーにとっての大きなメリットは、入居者の募集や家賃の集金、クレーム対応といった煩雑な管理業務を、すべてサブリース会社に任せられることです。空室が発生しても、契約期間中は毎月一定の賃料(保証賃料)が不動産会社から支払われるため、安定した収入を見込めるスキームとして説明されることが多くなっています。

具体的には、オーナーとサブリース会社の間に「マスターリース契約(原賃貸借契約)」が結ばれ、サブリース会社と入居者の間に「サブリース契約(転貸借契約)」が結ばれるという二段階の構造になっています。この結果、オーナーは入居者と直接契約を結ぶことなく、物件を運営できる仕組みです。

一方で、この「又貸し」という構造が、後述する賃料減額や解約制限などさまざまなトラブルの土台にもなり得ます。メリットだけでなく、構造上の弱点も合わせて理解しておくことが重要です。

一般的な管理委託契約との違い

サブリース契約と混同されやすいのが「管理委託契約」ですが、両者は似て非なるものです。最大の違いは、賃貸借契約の当事者が誰になるかという点にあります。この違いが、リスクの所在やオーナーの裁量に大きく影響します。

管理委託契約では、物件の貸主はあくまでオーナー自身であり、管理会社はオーナーの代理人として入居者募集や家賃集金などの管理業務を代行するだけです。つまり、オーナーと入居者の間で直接、賃貸借契約が結ばれます。

このため、空室が発生した場合、管理委託契約では家賃収入が途絶えるリスクをオーナーが直接負います。一方、サブリース契約では貸主の立場はサブリース会社となり、空室リスクは(形式上は)サブリース会社が負担します。その代わり、サブリース契約では礼金や更新料といった収入がオーナーに入らないケースが多く、実質的な手取りは抑えられがちです。

まとめると、管理委託契約はオーナーが経営の主体であり続ける契約であるのに対し、サブリース契約は経営の大部分をサブリース会社に委ねる契約です。どちらが良い・悪いではなく、リスクとリターンのバランスを理解した上で選択することが何より重要です。

サブリース契約の種類と特徴

一口にサブリース契約と言っても、いくつかのタイプが存在し、それぞれ特徴が異なります。代表的なのは「家賃保証型」と「パススルー型」の2種類で、どちらを選ぶかによってオーナーの収益構造は大きく変わります。

家賃保証型は、その名の通り空室の有無にかかわらず一定の賃料が保証されるタイプで、安定性を重視するオーナー向きとされています。一方、パススルー型は実際の家賃収入から一定割合の手数料を差し引いた額がオーナーに支払われる仕組みで、収益は変動しますが、満室時の手取りは高くなるケースが多いのが特徴です。

例えば家賃10万円の部屋で考えると、家賃保証型では空室があっても8万5,000円が保証される一方、パススルー型では満室なら手数料を差し引いた9万5,000円を受け取れるものの、空室時の収入はゼロになります。空室リスクの取り方の違いが、そのまま収益の差として表れるイメージです。

調査によっては、トラブルの多くが家賃保証型に集中しているというデータも報告されています。一般的に「サブリース」と言えば家賃保証型を指すことが多いため、契約前にはどちらのタイプなのか、保証の具体的な条件はどうなっているのかを必ず確認しておきましょう。自分のリスク許容度と物件の競争力を冷静に分析し、最適な契約形態を選択することが大切です。

 

サブリース契約でよくあるトラブル事例

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「30年間家賃保証」といった魅力的な謳い文句の裏で、サブリース契約には多くの落とし穴が潜んでいます。ここでは、実際に国民生活センターや裁判所に数多く寄せられている代表的なトラブル事例を4つ取り上げます。

これらの事例を知ることで、契約書にサインする前にどのようなリスクを想定すべきか、またすでに問題に直面している場合に自身の状況を客観的に把握しやすくなります。オーナーが陥りがちな典型的なパターンを押さえ、同じ失敗を繰り返さないための参考にしてください。

賃料減額請求トラブル

サブリース契約における最も代表的なトラブルが、「家賃保証」を謳っていたにもかかわらず、サブリース会社から一方的に賃料の減額を請求されるケースです。「契約時の賃料がずっと続く」と誤解してしまうことが、トラブルの引き金になりがちです。

このトラブルの法的な背景にあるのが、借地借家法第32条です。同条は、経済情勢の変化などにより家賃が不相当となった場合、当事者が将来に向かって家賃の増減を請求できる権利(賃料増減請求権)を定めています。そして、この権利はサブリース会社にも及ぶというのが最高裁判所の判例で確立されています。

実務では、「当初10年間は賃料を固定し、その後2年ごとに見直す」といった条項を設けた契約で、最初の見直し時期に「近隣の家賃相場が下落したため、保証賃料も20%減額します」と通知されるケースが多く見られます。実際の入居者賃料は上昇しているにもかかわらず、オーナー側には減額を提案してくるといった事例も報告されています。

結論として、サブリース契約における「家賃保証」は、賃料が将来にわたって固定されることを意味しないという点を、必ず理解しておく必要があります。契約書に「賃料は減額しない」といった特約があっても、法律との関係で効力が制限される可能性が高い点には注意が必要です。

出典: e-Gov|法令検索 借地借家法

契約解約拒否トラブル

オーナー側から契約を解除しようとしても、サブリース会社から拒否されたり、高額な違約金を要求されたりするのが解約をめぐるトラブルです。一度契約を結ぶと、オーナーの意思だけでは簡単に抜け出せないという、非常に重い拘束力が問題となります。

背景にあるのは、サブリース契約においてサブリース会社が借地借家法で保護される「借主」の立場にあるという点です。日本の法律では、貸主(オーナー)からの解約には借主(サブリース会社)を退去させるだけの「正当事由」が必要とされており、このハードルは高く設定されています。オーナーによる解約は、サブリース会社に対する「立ち退き請求」と同様の扱いになるため、立退料に相当する高額な違約金を求められるリスクもあります。

例えば、「より条件の良い管理会社へ変更したい」「物件を売却したいので契約を終了したい」といったオーナー側の事情は、通常「正当事由」とは認められにくいのが実情です。その結果、数百万円規模の金銭を支払い、合意解約に持ち込むケースも見られます。

このように、サブリース契約は一度結ぶと長期にわたりオーナーを拘束する契約であることを踏まえ、契約期間や中途解約に関する条項は、署名前に最優先で確認すべきポイントと言えます。

免責期間・違約金トラブル

契約書を十分に読み込まないと見落としてしまいやすいのが、オーナーにとって不利な「免責期間」や「高額な違約金」に関する条項です。これらはサブリース会社の収益を確保し、リスクをオーナー側に転嫁する目的で設けられているケースも少なくありません。

典型例として、入居者が退去してから次の入居者が決まるまでの一定期間(例えば90日間)を「免責期間」と定め、その間は保証賃料を支払わないという条項があります。これは、本来「空室リスクの軽減」を目的とするサブリース契約の趣旨と矛盾する部分もあるため、内容をよく確認する必要があります。

また、オーナー側から中途解約を申し出た場合に、家賃の6ヶ月分や10ヶ月分といった高額な違約金を請求する条項が盛り込まれていることもあります。契約書上は明記されているものの、契約時に十分な説明が行われていなかったり、更新のタイミングで条件が追加されていたりするケースも見受けられます。

したがって、契約書は隅々まで確認し、少しでも不明点や違和感のある条文があれば必ず質問することが自己防衛の基本です。特に「免責」「違約金」「特約」といったキーワードには、慎重な確認が求められます。

サブリース会社破綻トラブル

最も深刻な結果を招きかねないのが、契約相手であるサブリース会社が経営破綻してしまうケースです。会社の倒産は、保証されていたはずの家賃収入が途絶えるだけでなく、予期せぬ債務をオーナーが負担するリスクにもつながります。

サブリース会社が破綻すると、オーナーとサブリース会社とのマスターリース契約は事実上機能しなくなり、保証賃料の支払いはストップします。オーナーは急遽、入居者と直接やり取りをする体制へ切り替えなければなりません。

さらに問題となるのが、サブリース会社が入居者から預かっていた敷金の返還義務です。会社側の資金管理が適切でなかった場合、敷金相当額が残っておらず、物件の所有者であるオーナーが返還を求められる事態も起こり得ます。賃料収入が途絶えたうえに、多額の敷金返還債務まで負うことになれば、オーナーのダメージは非常に大きなものになります。

こうした事態を避けるためにも、契約を結ぶ相手企業の経営安定性や財務状況を事前に把握しておくことは、保証賃料の高さ以上に重要なチェックポイントです。家賃の支払いが度々遅れる、決算情報が不透明などのサインが見られる場合は、早めに専門家へ相談し、リスクを見直すことが望まれます。

 

サブリース契約のデメリット

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これまで見てきたトラブル事例は、サブリース契約が内包する本質的なデメリットから生じているものです。ここでは、オーナーが契約前に必ず理解しておくべき4つの大きなデメリットについて整理します。

これらのポイントを押さえておけば、サブリース契約が本当に自分の不動産経営に適した方法なのかを、より冷静に判断できるようになります。メリットの裏側にあるリスクを直視していきましょう。

賃料減額リスク

サブリース契約における最大のデメリットは、保証されているはずの賃料が将来的に引き下げられるリスクを常に抱えている点です。長期的な収支計画を立てる上で、この不確実性は無視できません。

前述の通り、このリスクは借地借家法第32条によって法的に裏付けられています。サブリース会社は、近隣相場の変動や建物の経年劣化、経済情勢の変化などを理由に、オーナーに対して賃料の減額を請求する権利を持っています。一方で、オーナー側はインフレ局面で賃料を引き上げたいと考えていても、サブリース会社との契約条件が障壁となることもありえます。

多くの契約では「2年ごとの見直し」など定期的な賃料改定の条項が設けられており、市況が悪化すれば見直しのタイミングで大幅な減額案が提示される可能性があります。したがって、サブリース契約を検討する際は、提示された保証賃料が将来にわたって続くわけではないことを前提に、減額が生じた場合のシミュレーションも含めて収支を確認しておく必要があります。

解約制限リスク

もう一つの大きなデメリットは、オーナーの都合で契約を自由に解除できないという強い拘束力です。一度サブリース契約を結ぶと、物件の所有者でありながら、その処分や活用方法が大きく制限される結果になりかねません。

これは、サブリース会社が借地借家法上の「借主」として手厚く保護されていることに起因します。オーナーが契約を中途解約するには、裁判所も納得するような「正当事由」を証明しなければならず、そのハードルは非常に高いのが実務上の感覚です。

例えば、より有利な条件で物件を売却できるチャンスが訪れても、サブリース契約が足かせとなり、売却価格が下がってしまう、あるいは買い手が見つからないといった可能性があります。また、親から物件を相続した子どもがその家に住みたいと希望しても、サブリース会社に解約を拒否され、自己使用が難しくなるケースも想定されます。

このように、サブリース契約は自身の資産である不動産のコントロール権を長期間にわたって他者に委ねる行為でもあります。将来的に売却や自己使用の可能性がある物件については、とくに慎重な判断が必要です。

収益性低下リスク

安定との引き換えに、本来得られるはずの収益が大きく目減りすることも、サブリース契約の見逃せないデメリットです。管理の手間がかからないというメリットは、収益性の低下というコストの上に成り立っています。

サブリース会社がオーナーに支払う保証賃料は、入居者から得られる家賃から自社の利益や広告費、人件費などを差し引いて設定されます。一般的に保証賃料は相場家賃の80〜90%程度とされ、この10〜20%の差額がサブリース会社の収益源となります。

仮に相場家賃が10万円の物件であれば、オーナーの手取りは約8万5,000円というイメージです。自主管理や手数料の低い管理委託契約を選べば、満室時にはより多くの収入を得られた可能性があります。さらに、多くのサブリース契約では、入居者が支払う礼金や更新料などもサブリース会社の収入となり、オーナーには還元されません。

つまり、空室リスクをサブリース会社に肩代わりしてもらう代わりに、その「保険料」として収益の一部を継続的に差し出す構図になっていると言えます。その負担が、自分の物件の立地や競争力に照らして見合うものかどうか、冷静な検討が欠かせません。

管理の自由度制限

サブリース契約を結ぶと、物件の管理運営に関する意思決定権をほとんど失ってしまうという点もデメリットの一つです。自分の資産でありながら、運営方針に十分関与できない状況になりやすくなります。

法的にはサブリース会社が「貸主」となり、入居者の募集・選定・契約・退去手続きから、物件の修繕に至るまで多くの権限を持つことになります。オーナーはサブリース会社に物件を貸している立場にとどまり、その先の運営には原則として直接関与できません。

その結果、「ペット可にして入居者を募りたい」「設備投資をして物件価値を高めたい」といったオーナーの方針があっても、サブリース会社の経営判断と合わなければ実現できない場合があります。また、修繕工事が必要になった際も、業者選定や工事内容はサブリース会社側で決まり、オーナーは提示された費用を支払うだけという構図になりがちです。

このように、サブリース契約は「不動産経営の主導権」をサブリース会社に預ける契約でもあります。物件へのこだわりが強く、自ら工夫しながら価値向上を図りたいオーナーにとっては、大きなストレスの要因となり得ます。

 

サブリース契約の解約方法

すでにサブリース契約を結び、賃料減額や不誠実な対応などのトラブルに直面しているオーナーも少なくありません。ここでは、そのような状況から抜け出すために、法的な根拠に基づく契約の解約方法について概要を解説します。

前述の通り、オーナー側からの解約は決して容易ではありません。感情的に動くのではなく、法的な手続きや要件を理解し、必要に応じて専門家の力も借りながら、冷静かつ戦略的に進めることが重要です。

正当事由による解約要件

オーナー側からサブリース契約の解約を申し出るためには、借地借家法第28条に定められた「正当事由」が必要になります。この要件を満たさない限り、裁判で一方的な解約を認めてもらうことは極めて困難です。

「正当事由」とは、社会通念に照らして、借主(サブリース会社)に退去してもらうことが相当と認められる事情を指します。裁判所は、オーナーとサブリース会社双方の事情を総合的に比較しながら判断します。

具体例としては、①建物の老朽化が著しく、耐震性の問題などから建て替えが必要な場合、②オーナー自身が失業や病気などで経済的に困窮し、その物件に自ら居住する以外に生活の術がない場合、といった事情が挙げられます。また、サブリース会社による家賃の長期滞納など、契約違反行為があった場合も解約の理由になり得ます。

さらに、これらの事情に加えて、オーナーがサブリース会社に相応の立退料を提供するかどうかも、正当事由の有無を判断する際の重要な要素とされています。いずれにしても、「正当事由」のハードルは高いという前提を押さえた上で、解約の可能性については弁護士など専門家に相談することをおすすめします。

解約通知の手順と必要書類

解約を検討し、正当事由が見込める場合には、次のステップとして法的に有効な形で解約の意思を相手方に伝える必要があります。このときは、口頭ではなく「内容証明郵便」を用いて解約通知書を送付するのが基本です。

内容証明郵便を利用することで、「いつ・誰が・どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれます。これにより、後から「そのような通知は受け取っていない」といった争いを防ぎ、解約交渉や裁判となった場合の重要な証拠とすることができます。

おおまかな流れとしては、まず①契約書を再確認し、解約に関する条項(通知期間、違約金など)をチェックします。次に②弁護士などと相談しながら、正当事由を明確に記載した解約通知書を作成します。書面には、解約の意思、理由(正当事由)、希望する解約日などを整理して記載します。そして③完成した通知書を内容証明郵便(配達証明付き)でサブリース会社の本店所在地あてに送付します。

文面は感情的な表現を避け、事実と法的根拠を簡潔に記載することが重要です。準備しておきたい資料としては、サブリース契約書の写し、これまでのやり取りを時系列に整理したメモ、建物の老朽化を示す資料や診断書、家賃支払い状況の記録などが挙げられます。

法的根拠と判例のポイント

サブリース契約の解約交渉や裁判を有利に進めるには、関連する法律や過去の判例を把握しておくことも有効です。過去の裁判例でどのような判断がなされてきたかを知ることで、自身の主張の妥当性や交渉の落としどころをイメージしやすくなります。

中心となる法令は繰り返し述べている借地借家法で、特にオーナーからの解約を規定する第28条(正当事由)と、賃料減額請求を規定する第32条はサブリーストラブルを理解する上で欠かせません。

判例の中でも、平成15年10月21日の最高裁判決は重要です。この判決では、たとえ契約書に「賃料を減額しない」という特約(賃料不減額特約)があっても、その後の経済情勢の変化などにより賃料が不相当となった場合には、借地借家法第32条に基づき減額請求が認められると判断されました。オーナー側にとっては厳しい内容ですが、サブリース会社が賃料減額交渉を行う際の法的な背景を理解するうえで重要なポイントです。

法律や判例は、常にオーナーの側だけを保護してくれるものではありません。しかし、これらの知識を持っておくことで、相手方の主張の妥当性を冷静に判断し、必要に応じて専門家と連携しながら対等な立場で交渉に臨むことが可能になります。

 

トラブル回避のための対策

ここまでサブリース契約のリスクや解約のポイントについて見てきましたが、最も重要なのは、そもそもトラブルに巻き込まれないようにすることです。この章では、これからサブリース契約を結ぶ、あるいは見直しを検討しているオーナーが、後悔しないために取るべき具体的な予防策を3つの視点から整理します。

安易な契約は、将来の大きな負担につながりかねません。事前の情報収集と慎重な判断が、資産と安定した賃貸経営を守るための最大の防御策になります。

契約前のチェックポイント

トラブルを未然に防ぐための最も効果的な対策は、契約書に署名・捺印する前に、その内容を徹底的に精査し、理解することです。少しでも不明点や不利だと感じる条項があれば、安易に妥協してはいけません。

一度契約が成立してしまうと、その内容を後から覆すことは法的に非常に難しくなります。「担当者から口頭で大丈夫と言われた」という説明は通用しません。すべての約束事は、必ず書面で確認する必要があります。2020年12月に施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」により、サブリース業者には契約前の重要事項説明が義務付けられていますので、この機会を活用し、理解できるまで質問することが大切です。

具体的にチェックしたいポイントとしては、「保証賃料の見直し時期・条件・算出根拠」「賃料が支払われない免責期間の有無と長さ」「オーナーから中途解約する場合の条件と違約金の額」「原状回復や大規模修繕の費用負担の割合」「礼金・更新料などの収益の帰属先」などが挙げられます。これらは収支に直結するため、納得がいくまで説明を求めましょう。

また、将来的に物件を売却する可能性がある場合は、サブリース契約が売却価格や買い手の付きやすさにどのような影響を与えるかも確認しておきたいところです。契約書は不動産経営の「設計図」です。専門用語が多く難しく感じられる場合でも、時間をかけて読み込み、必要に応じて専門家のチェックを受けるなど、内容を十分理解するまではサインしないという姿勢がリスク軽減につながります。

信頼できる管理会社の見極め方

どのような契約内容を選ぶかと同じくらい重要なのが、誰と契約を結ぶかです。サブリース会社の信頼性や経営体質は、将来の安定経営に直結します。

サブリース契約は、数十年に及ぶ長期のパートナーシップになることも珍しくありません。目先の保証賃料の高さだけで判断してしまうと、数年後に経営不振による条件変更や、最悪の場合には倒産に直面するリスクがあります。会社の安定性こそが、実質的な意味での「保証」となることを意識しておきましょう。

信頼できる会社を見極めるポイントとしては、まず「会社の業歴と管理実績」が挙げられます。長年にわたり安定した経営を続けているか、管理戸数や入居率などの客観的なデータが公開されているかを確認しましょう。また、実際にその会社を利用している他のオーナーから評判を聞く、口コミや相談事例を調べるといった方法も有効です。

担当者の対応も大きな判断材料になります。メリットだけでなくリスクについても丁寧に説明してくれるか、質問に対して明確に答えてくれるか、といった点はよく見ておきたいところです。国土交通省の「賃貸住宅管理業者登録制度」に登録されているかどうかも、一つの目安になります。

最終的には、複数の会社から提案を受け、サービス内容や契約条件、担当者の人柄などを総合的に比較検討する「相見積もり」が欠かせません。一社だけの説明を鵜呑みにせず、多角的な視点から長期的に安心して任せられるパートナーを選びましょう。

定額制賃貸管理サービスとの比較

サブリース契約のリスクを避けるための有効な選択肢として、サブリース以外の管理形態、特に「定額制賃貸管理サービス」と比較検討する方法もあります。オーナーの収益性を高めつつ、管理の透明性を確保したい方にとって、有力な選択肢になり得ます。

定額制管理サービスは、サブリースが抱えがちな「収益性の低さ」と「条件の不透明さ」を軽減することを目的としたモデルです。空室の有無にかかわらず毎月一定額の管理料(例:1戸あたり数千円)を支払う代わりに、入居者募集から家賃回収、トラブル対応までを管理会社に委託できます。

例えば家賃10万円の物件で、サブリースの保証率が85%の場合、オーナーの手取りは8万5,000円です。一方、定額制管理サービスで月額5,000円の管理料だと仮定すると、満室時の手取りは9万5,000円となり、その差は月1万円、年間で12万円にもなります。空室リスクはオーナーが負うものの、入居者が支払った家賃は原則として全額オーナーの収入となり、礼金や更新料もオーナー側に入るため、トータルの収益性は高まりやすくなります。

サブリース契約は、数ある管理方法の一つに過ぎません。自分の物件の立地や競争力、空室リスクの水準、自身の関わり方の希望などを整理しながら、サブリースと他の管理形態を比較検討することが、賢明な賃貸経営の第一歩と言えるでしょう。

 

まとめ

本記事では、サブリース契約の基本的な仕組みから、多発しているトラブルの実態、法的な解約方法、そしてトラブルを未然に防ぐための対策までを解説してきました。最後に、押さえておきたいポイントを整理します。

サブリース契約は、「空室保証」という一見魅力的なメリットがある一方で、賃料減額リスク、解約制限、収益性の低下、管理の自由度制限など、オーナーにとって看過できないデメリットを内包しています。これらのリスクは、契約の構造上、一定程度は避けがたく発生しうるものだという前提に立つ必要があります。

そのうえで、トラブルを回避するためには、契約前に内容を徹底的に精査し、リスクを理解したうえで判断すること、信頼できる会社を慎重に選ぶことが欠かせません。また、サブリースが唯一の選択肢ではないことを踏まえ、定額制賃貸管理サービスなど、より収益性と透明性の高い管理形態も含めて比較検討することが重要です。

サブリース契約を検討している方も、すでにトラブルに直面している方も、まずは現状の契約内容を正しく把握し、必要に応じて専門家へ相談することから始めてみてください。今回ご紹介したポイントが、長期的に安定した賃貸経営を実現するうえでの一助となれば幸いです。