マンション経営の安定には、高い入居率をどれだけ維持できるかが大きく影響します。「空室が増えてきた」「今の管理会社の動きに不安がある」と感じていても、どこから見直せばよいか分からないというオーナー様も多いのではないでしょうか。入居率の低下は家賃収入の減少だけでなく、将来的な資産価値にも影響します。
この記事では、入居率の基本的な考え方と代表的な計算方法、入居率が下がる主な原因、そして実際に効果が出やすい空室対策のポイントを整理して解説します。あわせて、状況によっては検討したい管理会社の見直しについても触れながら、「自分の物件で何から手をつけるべきか」が分かるような内容を目指しました。
この記事でわかること
この記事は、賃貸マンションを所有するオーナー様が、自分の物件の入居率を正しく把握し、改善の方向性をイメージできるようにまとめたガイドです。入居率の定義や経営への影響、一般的な目安といった基礎から、「時点入居率」「稼働入居率」「賃料入居率」といった指標の違いまで、必要なポイントだけをコンパクトに整理しています。
そのうえで、入居率が下がる原因を「物件」「募集条件」「管理体制」の3つの観点から確認し、適正賃料の見直し、募集方法の工夫、内装・設備の改善、共用部の管理、入居条件の調整といった空室対策の考え方を解説します。最後に、入居率改善に強い管理会社の選び方や変更の流れにも触れ、この記事を読み終えたあとに「まずこれをやってみよう」と一歩踏み出せる状態になることを目指しています。
マンション入居率の基本知識
マンション経営の状況を判断するうえで、入居率は最も基本的な指標のひとつです。このセクションでは、入居率の意味や経営に与える影響、目安とされる水準について整理します。まずは基本を押さえておくことで、後ほど出てくる計算方法や対策の考え方も理解しやすくなります。
マンション入居率とは
マンション入居率とは、所有する賃貸物件の総戸数に対して、実際に入居者がいる戸数がどれくらいの割合を占めるかを示す数値です。計算式はシンプルで、「(入居中の戸数 ÷ 総戸数) × 100」で算出します。例えば、10戸のマンションで9戸に入居者がいれば、入居率は90%です。
入居率が重要とされる理由は、空室が増えるとその分だけ家賃収入が減り、毎月の返済や管理費などの支出をまかないにくくなるからです。特にローンを利用して物件を購入している場合、入居率の低下は返済計画に直接影響します。
また、入居率は将来的な資産価値の評価にも関わります。金融機関が融資を検討する際や、物件の売却価格を考える際には、「安定して家賃収入が入っている物件かどうか」が重視されます。高い入居率を維持している物件は、収益性の高い優良物件として評価されやすく、逆に入居率が低い状態が続くと、価値が低く見られてしまうこともあります。
このように、マンション入居率は、日々の収益と長期的な資産価値の両方に関わる、賃貸経営の基本となる指標と言えます。
入居率が不動産経営に与える影響
入居率の変化は、収入・資産価値・将来の資金調達に影響します。単に「空室が多いか少ないか」という問題にとどまらず、経営全体の安定性に直結する点がポイントです。
まず、最も分かりやすいのはキャッシュフロー(毎月の収支)への影響です。例えば、家賃8万円のお部屋が1室空くだけでも、1年間で約100万円近い収入が減ることになります。空室が複数に増えたり、空室期間が長引いたりすれば、その分だけ赤字に転じるリスクが高まります。
次に、物件の資産価値への影響です。不動産の評価方法のひとつに「収益還元法」と呼ばれる考え方があります。これは、将来得られる家賃収入をもとに物件の価値を判断する方法で、空室が多く入居率が低い物件ほど、評価される価値は低くなりやすくなります。将来売却を検討する際にも、「入居が安定している物件かどうか」は買い手にとって重要な判断材料です。
さらに、金融機関からの評価にも関わります。新たな物件の購入資金や、既存ローンの借り換えを検討する際、金融機関は所有物件の実績を確認します。そのとき、入居率が安定していれば「しっかり運営できているオーナー」として評価され、有利な条件で融資を受けやすくなります。逆に、低い入居率が続いていると、「返済が滞るかもしれない」と判断され、融資条件が厳しくなったり見送られることもあります。
入居率の全国平均と目安
自分のマンションの入居率が「良いのか悪いのか」を判断するには、一般的な目安や周辺エリアの状況と比べることが大切です。
エリアや物件の条件によって差はありますが、賃貸経営においては、入居率がだいたい85〜90%を下回ると収支が厳しくなりやすいと言われます。安定経営を目指すのであれば、それより高い水準を維持したいところです。
都市部の駅近物件や築浅物件など、人気の条件がそろったマンションでは、非常に高い入居率を保っているケースも多くあります。一方で、郊外エリアや築年数の古い物件は、同じ地域の中でも入居率に差が出やすい傾向があります。
オーナー様としては、最低ラインとして90%前後をひとつの目安にしつつ、可能であれば95%以上をめざすイメージを持っておくと良いでしょう。もし入居率が90%を大きく下回っている場合は、市場全体と比べて見劣りしている可能性が高く、早めに原因を見直すサインと捉えるべきです。
マンション入居率の3つの計算方法
一口に入居率といっても、「いつの時点を切り取るか」「お金ベースで見るか」など、いくつかの見方があります。ここでは、オーナー様が経営状況をより正確に把握するために役立つ、3つの代表的な計算方法を紹介します。
時点入居率の計算と特徴
時点入居率とは、「ある特定の日」の入居状況を示す、もっともシンプルな入居率です。例えば「月末時点の入居率」のような形で、管理会社からの報告に使われることが多い指標です。計算式は、「(調査時点での入居戸数 ÷ 総戸数) × 100」です。
時点入居率は、直近の空室状況を素早く把握するには便利ですが、その日の状態だけを切り取った「写真」のようなものに過ぎません。極端な例を挙げると、たまたまその日に満室であれば入居率は100%になりますが、その前後に長い空室期間があっても、この数字だけでは分かりません。
そのため、時点入居率は日々の状況を確認するうえで有効な一方で、この数字だけを見て経営判断をするのは危険です。後述する稼働入居率など、期間全体を踏まえた指標とセットで見ることが大切です。
稼働入居率の計算と特徴
稼働入居率とは、一定期間(たとえば1年)のうち、実際にどれくらいの期間・戸数が入居で埋まっていたかを示す指標です。「年間稼働率」と呼ばれることもあります。
考え方としては、「365日 × 総戸数」で出せる「満室だった場合の延べ日数」から、空室だった日数を引き、その割合を求めるイメージです。細かい計算式は管理会社に任せても構いませんが、ポイントは空室期間の長さも含めて、経営の実態を反映できるという点です。
例えば、10戸のマンションで1戸が1年間ずっと空いていた場合と、10戸すべてがときどき空きつつもトータルで1年分の空室日数が発生した場合、見た目の「時点入居率」は月によってかなり変わります。しかし稼働入居率で見ると、どちらも「年間を通じてどれくらい埋まっていたか」という点では同じように評価できます。
このように、稼働入居率を併せてチェックすることで、「月末はだいたい満室だから大丈夫」といった感覚的な判断から一歩進み、空室期間による家賃の取りこぼしを数字として把握できるようになります。
賃料入居率の計算と特徴
賃料入居率とは、満室だった場合に得られるはずの年間家賃収入に対して、実際に受け取った家賃がどれくらいの割合かを示す指標です。空室だけでなく、家賃の値下げやフリーレント(一定期間家賃無料)・滞納なども含めて、「実際にどれだけ収入が入ったか」を見ることができます。
考え方はシンプルで、「年間の実質家賃収入 ÷ 満室だった場合の年間家賃収入 × 100」で計算します。例えば、満室であれば年間1,000万円入るはずの物件で、実際の家賃収入が800万円だった場合、賃料入居率は80%というイメージです。
賃料入居率が役立つのは、「入居率は高いのに思ったほど収益が出ていない」という違和感の原因を探るときです。たとえば、空室を埋めるために大幅な家賃値下げや長期のフリーレントを行っていると、戸数ベースの入居率は高くても、賃料入居率は下がってしまいます。
そのため、賃料入居率はキャッシュフローに最も近い、経営の“最終成績表”のような指標と言えます。「入居率は悪くないのに利益が出ていない」という場合は、この賃料入居率もあわせて確認してみると原因が見えやすくなります。
マンション入居率が下がる主な原因
愛着のあるご自身の物件で空室が目立ち始めると、「なぜうちだけ?」と不安になるオーナー様も多いと思います。入居率が下がる背景には、必ず何らかの理由があります。ここでは、原因を大きく3つのカテゴリーに分けて整理します。
物件自体の問題
まず考えられるのが、物件そのものが入居者のニーズに合わなくなっているケースです。これは、築年数が経った物件ほど表面化しやすい問題です。
代表的な例としては、設備の古さや使い勝手の悪さが挙げられます。インターネット無料やオートロック、宅配ボックスなど、いまでは「あると当たり前」と思われている設備がないと、他の物件と比べて見劣りしてしまいます。エアコンや給湯器、キッチン、浴室などの水回り設備も、あまりに古いと内見の段階で敬遠されやすくなります。
間取りも重要です。和室が多い、収納が少ない、洗濯機置き場が外にある、3点ユニットバスなど、以前は一般的だった仕様が、現在のライフスタイルには合わなくなっている場合もあります。
このように、物件の経年劣化や設備・間取りの「時代遅れ」が進むと、周辺の新しい物件やリフォーム済み物件との競争に負けやすくなり、結果として入居率の低下につながります。
募集条件の問題
物件自体には大きな問題がなくても、設定している家賃や条件が市場と合っていないと、なかなか入居が決まりません。今はインターネットで多くの物件を比較できるため、条件面で見劣りすると、そもそも内見の候補に入らないこともあります。
よくあるのが、「購入時の賃料」「昔うまくいっていた賃料」にこだわってしまい、現在の相場とズレてしまうケースです。周辺エリアの開発状況や人口の変化、新築物件の供給などにより、賃料相場は少しずつ動いています。
具体的な募集条件の問題としては、周辺の同程度の物件と比べて家賃が高すぎる、敷金・礼金・更新料などの初期費用が重い、連帯保証人の条件が厳しすぎる、といった点が挙げられます。最近は、初期費用を抑えたい入居希望者も多く、「敷金・礼金ゼロ」や保証会社利用可の物件が選ばれやすい傾向にあります。
募集条件が原因で入居率が下がっている場合は、周辺相場の調査や不動産会社からの意見を参考に、条件を柔軟に見直すことが重要です。
管理体制の問題
物件のハード面や募集条件に問題がなくても、日々の管理が行き届いていないと、入居率はじわじわと下がっていきます。管理体制は、現在住んでいる入居者の満足度と、新しく住む人の印象の両方に影響します。
たとえば、共用部の清掃が不十分でエントランスや廊下が汚れている、ゴミ置き場が乱雑になっている、設備の故障や騒音トラブルが起きたときに管理会社の対応が遅い――といった状況が続くと、入居者の不満が募り、更新のタイミングで退去してしまうことが増えます。
また、退去後の原状回復工事やクリーニングの着手が遅いと、その分だけ募集開始が遅れ、空室期間が長引いてしまいます。本来であればすぐに次の入居者を募集できたはずなのに、管理の遅れによって機会損失が生まれているケースも少なくありません。
このように、優れた管理体制は「入居率を維持するための土台」となる部分です。現在の管理会社に対して、「対応が遅い」「状況報告が十分でない」といった不満がある場合は、それが入居率低下の一因になっている可能性も考えられます。
マンション入居率を改善する空室対策
入居率低下の原因がある程度見えてきたら、次は具体的な対策に取り組む段階です。ここでは、多くのオーナー様が実践している代表的な空室対策を5つの視点からご紹介します。複数の施策を組み合わせて進めることで、より効果が出やすくなります。
適正賃料の設定と見直し
入居率改善の第一歩は、賃料が「今の市場に合った水準」になっているかを確認することです。物件の魅力が十分であっても、相場から大きく外れた賃料では、候補から外されてしまいます。
賃料の見直しが重要なのは、不動産市場や経済状況が変化するからです。近隣に新築物件が増えた、最寄り駅周辺の環境が変わった、エリア全体の需要が変化した――こうした要素によって、適正な家賃水準も少しずつ動いていきます。
具体的には、大手不動産ポータルサイトで類似条件(エリア、駅からの距離、築年数、間取り、設備など)の物件を検索し、自分の物件がどう見えるかをチェックします。併せて、複数の不動産会社に賃料査定を依頼し、プロの意見も参考にすると、より客観的に判断しやすくなります。
家賃を下げるのは抵抗があるかもしれませんが、「長期の空室による丸々一ヶ月分の家賃の損失」と「少し家賃を下げて早く入居が決まること」を比較すると、後者の方がトータルの収益がプラスになる場合も多くあります。感覚ではなくデータをもとに、柔軟に検討することが大切です。
募集方法の最適化
適正な賃料に整えたうえで次に重要なのが、物件の情報を「どう見せるか」「どれだけ多くの人に届けるか」という募集方法の工夫です。現在は、部屋探しの多くがインターネット上で完結する時代です。
特に効果が大きいのが、写真と紹介文のクオリティです。暗くて狭く見える写真や、枚数が少ない写真では、クリックされる前に候補から外れてしまうこともあります。できれば、部屋が明るく広く見えるように撮影し、リビングだけでなく水回りや収納、眺望なども分かるように複数枚を用意しましょう。
紹介文では、「駅徒歩◯分」といった条件だけでなく、「近くにスーパーや公園があり生活しやすい」「商店街を通って帰れるので夜道も安心」など、生活イメージがわく具体的なメリットを盛り込むと、物件の魅力が伝わりやすくなります。
また、複数のポータルサイトへの掲載や、自社サイト・店頭でのPRなど、露出経路を増やすことも効果的です。管理会社に任せきりにせず、「どのような媒体で、どのような写真・文章で募集しているのか」を一度確認してみるとよいでしょう。
内装・設備の改善
中長期的に入居率を高めていくうえでは、内装や設備に手を入れて物件の魅力を底上げする「バリューアップ」も有力な選択肢です。
すべてを一度に変える必要はありません。まずは、費用対効果の高い部分から着手するのがおすすめです。例えば、壁紙を一部アクセントクロスに変える、照明を明るくデザイン性のあるものに変えるだけでも、お部屋の印象は大きく変わります。
設備では、モニター付きインターホンや温水洗浄便座、浴室乾燥機など、入居者のニーズが高いものから優先的に導入を検討すると良いでしょう。予算や物件の状況によっては、思い切ってバス・トイレ別へのリフォームなど、大きな間取り変更を行うことで、家賃アップや空室の大幅な減少につながるケースもあります。
内装・設備の改善は、単なる修繕ではなく、将来の収益を増やすための投資です。ターゲットとする入居者像(単身者向け・ファミリー向けなど)を意識しながら、必要なポイントに絞って検討することが大切です。
共用部の維持管理
入居率改善というと専有部ばかりに目が向きがちですが、エントランスや廊下、ゴミ置き場など共用部の印象も、入居の可否を左右する重要なポイントです。
内見者は、建物に入った瞬間から物件の印象を判断し始めます。エントランスが暗く、チラシが散乱している、廊下が汚れている、ゴミ置き場が不衛生――こうした状態だと、室内がいくらきれいでも、「ここに住んで大丈夫だろうか」と不安を感じさせてしまいます。
対策としては、定期的な清掃の徹底が基本です。専門業者に依頼して、床・手すり・郵便受け・ゴミ置き場などを定期的に点検・清掃してもらう体制を整えると安心です。併せて、分別ルールの掲示や、共用部に私物を放置しないよう注意喚起するなど、ルール面の見直しも重要です。
共用部がきちんと手入れされていると、それだけで「管理が行き届いている物件」というイメージを持ってもらいやすくなります。地味ですが、長く住んでもらうための土台づくりとして、非常に効果の高い取り組みです。
入居条件の見直し
ハード面の対策とあわせて、多様化する入居者ニーズに合わせて入居条件を柔軟に見直すことも、空室対策として有効です。従来のルールにこだわりすぎると、本来は入ってもらえたはずの層を取りこぼしてしまう可能性があります。
代表的な見直しポイントとしては、敷金・礼金・更新料といった初期費用があります。「敷金・礼金ゼロ」や、片方だけゼロにする条件に変えることで、問い合わせが増えるケースも少なくありません。また、一定期間の家賃を無料にする「フリーレント」の活用も、引っ越し時期の負担を軽くしたい入居希望者にとって魅力的な条件になります。
ほかにも、「ペット可」「二人入居可」「事務所利用相談可」など、物件の特徴や周辺ニーズに応じて条件を緩和することで、新しい需要を取り込める可能性があります。保証会社の利用を前提にすることで、連帯保証人がいない方でも入居しやすくなるケースもあります。
ただし、条件を緩めればよいというわけではなく、家賃滞納や近隣トラブルなどのリスクとのバランスも重要です。管理会社と相談しながら、自分の物件にとって無理のない範囲で条件を調整していくことがポイントです。
管理会社変更による入居率改善
ここまでご紹介してきたような空室対策を実行し続けるには、オーナー様だけで頑張るのではなく、信頼できる管理会社との連携が欠かせません。もし現在の管理会社に対して「提案が少ない」「動きが遅い」と感じている場合は、管理会社そのものを見直すことが入居率改善への近道になる場合もあります。
管理会社変更のメリット
現在の管理会社に不満を抱えながらも、「変更は手間がかかりそう」と躊躇されるオーナー様は少なくありません。しかし、入居率改善に強い管理会社に切り替えることで、空室対策の質とスピードが大きく変わることもあります。
入居率の高い管理会社は、家賃査定や募集条件の見直し、リフォーム提案などを積極的に行い、エリアの市場動向に合わせた具体的な改善策を提案してくれます。また、退去連絡が入ったタイミングで先行募集を始める、原状回復工事をスピーディーに進めるなど、空室期間を短くするための段取りにも慣れています。
加えて、入居者からの問い合わせやトラブル対応が丁寧で早ければ、入居者満足度が高まり、長く住んでもらえる可能性も高まります。更新率が上がれば、その分だけ新たな募集コストや空室リスクも抑えられます。
このように、管理会社の変更は単なる「窓口の変更」ではなく、賃貸経営のパートナーを選び直すことを意味します。入居率や対応に課題を感じている場合は、一度選択肢として検討してみる価値があります。
入居率の高い管理会社の選び方
管理会社を選び直す際には、「管理戸数が多い」「知名度がある」といった表面的な情報だけで判断するのではなく、入居率を高めるための具体的な取り組みや実績を確認することが大切です。
チェックしたいポイントとしては、例えば次のようなものがあります。
- ・管理物件の入居率や、空室期間の平均がどの程度か
- ・自社の仲介店舗や提携先を含め、どのようなルートで客付けを行っているか
- ・賃料査定やリフォーム提案など、収益改善につながる提案をどれくらい行ってくれるか
- ・月次報告書や募集状況の報告など、オーナーへの情報提供が丁寧かどうか
実際には、複数の管理会社と面談して、質問に対する説明の分かりやすさや、オーナーの立場に立った提案をしてくれるかどうかも重要な判断材料になります。数字だけでなく、「任せても大丈夫」と思える相性も含めて検討するとよいでしょう。
管理会社変更の手順と注意点
管理会社を変更する際には、現在の管理委託契約書の内容をきちんと確認し、段取りよく進めることが大切です。手順を誤ると、思わぬトラブルや余計な費用が発生する可能性もあります。
一般的な流れは、次のようなイメージです。
① 現行の管理委託契約書の確認
まずは、今の管理会社と結んでいる管理委託契約書を見直します。特に、解約の条件(解約予告の期間、違約金の有無など)を必ず確認しましょう。一定期間前までに書面で解約を通知することが定められているケースが多いため、いつまでにどのような形で連絡すべきかを把握しておくことが重要です。
② 新しい管理会社の選定・契約
次に、新たに任せる管理会社を選びます。複数社と面談し、サービス内容や手数料、入居率向上の取り組みなどを比較検討したうえで、新しい管理委託契約を結びます。このタイミングで、「引き継ぎ時にどこまでサポートしてもらえるか」も確認しておくと安心です。
③ 現管理会社への解約通知
契約内容とスケジュールの見通しが立ったら、現管理会社へ解約の意思を正式に伝えます。契約書に記載された方法と期限を守り、書面で通知するのが基本です。内容証明郵便など、後から「言った・言わない」にならない形で送付しておくとトラブル防止になります。
④ 業務の引き継ぎ
最後に、管理業務の引き継ぎを行います。新しい管理会社が中心となって、鍵や入居者情報、契約書類、滞納状況などの情報を現管理会社から受け取り、スムーズに管理を引き継げるよう段取りしていきます。オーナー様は、必要な書類の手配や確認事項への対応などを行い、引き継ぎが滞らないようサポートします。
最近は、解約手続きや引き継ぎの調整を新しい管理会社がサポートしてくれるケースも増えています。不安な点があれば、「解約・引き継ぎのサポートはどこまで対応してもらえるか」を事前に相談しておくと安心です。
まとめ
この記事では、マンション入居率の基本から計算方法、低下する主な原因、そして具体的な空室対策や管理会社の見直しまでを幅広くご紹介しました。安定したマンション経営を続けるためには、「今の入居率がなぜその数字なのか」をデータで把握し、原因に応じた対策を継続的に行うことが欠かせません。
適正賃料の見直し、募集方法の工夫、内装・設備への投資、共用部の維持管理、入居条件の調整――こうした施策はどれも重要ですが、オーナー様お一人で手探りで進めていくのは大きな負担です。また、市場環境は常に変化しているため、一度対策をすれば終わりではなく、定期的な見直しも必要になります。
もし現在の入居率に不安を感じていたり、「管理会社から十分な提案がない」「空室対策が後手に回っている」と感じている場合は、管理体制そのものを見直すタイミングかもしれません。入居率改善の近道は、空室を埋めるノウハウと実行力を持つ管理会社とパートナーシップを組むことです。
本記事の内容をきっかけに、自物件の現状を改めて振り返り、「どこに課題があり、何から手を付けるべきか」を考える一助としていただければ幸いです。入居率の改善は、一歩ずつの取り組みの積み重ねで、着実に前進させていくことができます。