マンションの共用部清掃にかかる費用は、実は物件の収益性に大きく影響する経費のひとつです。
しかし、多くのオーナーが「提示された金額が妥当なのか分からないまま支払い続けている」というのが実情ではないでしょうか。
実際、清掃内容や頻度を見直すだけで、年間数万円から数十万円のコスト削減につながるケースも珍しくありません。
本記事では、マンション共用部清掃の料金体系から戸数別の相場、見積書の見方、管理会社との交渉に使えるチェックポイントまでを分かりやすく解説します。
読み終える頃には、提示された清掃費用が適正かどうかを自分で判断できるようになるはずです。
この記事でわかること
この記事では、マンション共用部清掃の料金について、オーナーが知っておくべきポイントを体系的に解説します。
清掃の種類ごとの料金相場や戸数別の費用目安、清掃頻度の決め方、見積書で確認すべき項目、管理会社との交渉に使える判断基準まで、実務に役立つ内容を網羅しています。
「今の清掃費用は高すぎないか」「見直す余地はあるのか」と感じている方は、ぜひ参考にしてください。
マンション共用部清掃の料金体系
マンション共用部の清掃費用を適正に判断するには、まず「料金がどう決まるか」を押さえる必要があります。清掃と一口に言っても、目的や頻度、作業内容によって費用構造が大きく異なるためです。
清掃業界では、共用部清掃は主に「日常清掃」「定期清掃」「特別清掃」の3つに分類されます。この違いを理解しておくと、見積書の中身が読み解きやすくなり、「必要以上の作業に費用を払っている」「逆に必要な清掃が抜けている」といったミスマッチを防げます。
日常清掃・定期清掃・特別清掃の違い
日常清掃は、週1回から数回の頻度で行う、共用部の基本的な清掃です。エントランス、廊下、階段、ゴミ置き場などを対象に、掃き掃除・拭き掃除・ゴミの整理といった作業が中心になります。巡回清掃と呼ばれることもあり、建物の清潔感を日常的に維持する役割を担います。
定期清掃は、月1回から数カ月に1回程度の頻度で行う、専門的な作業です。ポリッシャーによる床洗浄やワックス掛け、高圧洗浄機を使った外構・駐車場の洗浄などが代表例で、日常清掃では落としきれない汚れをリセットし、資産価値や建物の印象を保つ目的があります。
特別清掃は、年1回から2回程度、または必要に応じて実施する設備寄りの清掃です。排水管高圧洗浄、貯水槽清掃、窓ガラス清掃、外壁洗浄などが含まれます。専門的な機材と技術が必要になりやすく、費用は高額になりがちですが、建物の長寿命化や事故・トラブル予防に直結するため、必要性を理解したうえで計画的に実施することが重要です。
料金が変動する主な要因
清掃料金は一律ではなく、物件条件や作業設計によって変動します。特に影響が大きいのは次の要素です。
まず大きいのが清掃対象面積です。廊下や階段、エントランスなどの共用部が広いほど作業時間が増え、人件費が上がります。見積もりの算定は、延床面積や共用部面積を基準にするケースが多く、同じ戸数でも建物形状によって差が出る原因になります。
次に階数・動線です。エレベーターのない物件や、階段移動が多い構造では作業効率が落ちるため、同じ面積でも費用が上がりやすくなります。清掃員の移動時間が長いほど、人件費に反映されます。
清掃頻度も当然ながら料金を左右します。週1回と週3回では総作業回数が違うため、費用は増えます。ただし頻度が増えるほど1回あたりの負担が軽くなり、業者側のルート効率も上がるため、単純に比例しない(割引が効く)こともあります。
さらに立地(地域相場)も要注意です。都市部は人件費相場が高く、同じ条件でも郊外より高くなる傾向があります。見積もりの「高い・安い」を判断するときは、地域性も含めた比較が必要です。
見積書の基本構成と読み方
見積書を受け取ったら、金額だけで判断しないことが重要です。清掃費は「何を」「どれだけ」「どんな体制で」行うかで妥当性が決まります。
まず確認したいのは作業内容の具体性です。「共用部一式」とだけ書かれている見積もりは要注意で、エントランス・廊下・階段・エレベーター・ゴミ置き場など、対象範囲が明確に記載されているかを確認します。あわせて、掃き掃除・拭き掃除・水洗い・除菌など、作業の中身が読み取れる表現になっているかも重要です。
次に作業頻度と人員配置です。週何回の清掃かだけでなく、1回あたりの作業時間、清掃員の人数が分かると、妥当性の検証がしやすくなります。ここが書かれていない場合、実際の作業量が見えず、品質の担保も難しくなります。
また、見積書によっては人件費・資材費・諸経費が分かれていることがあります。管理会社経由の場合は、ここに管理手数料(マージン)が含まれるケースもあるため、どこまでが実作業費なのかを意識して読みましょう。契約期間や解約条件も、後から揉めやすいポイントなので、見積段階から確認しておくと安心です。
マンション共用部清掃の料金相場
清掃費用が高いのか妥当なのかを判断するには、「相場感」を持っておくことが不可欠です。ここでは、清掃の種類ごとに、実務でよく使われる料金水準を整理して紹介します。
なお、以下の金額は首都圏を中心とした都市部の一般的な相場をもとにした目安です。地域や物件条件によって前後するため、「自分の物件にそのまま当てはめる数値」ではなく、「判断基準としての目安」として活用してください。
日常清掃(巡回清掃)の月額料金目安
日常清掃の費用は、戸数や共用部の面積、清掃頻度によって大きく変わります。
週1回清掃の場合の月額相場としては、10戸前後の小規模マンションでおおむね1万5,000円から2万5,000円程度、20戸から30戸程度の中規模マンションで2万5,000円から4万円程度、50戸以上の規模になると5万円から10万円以上になるケースも見られます。
ここで重要なのは総額だけでなく、一戸あたりの負担額で見る視点です。業界データを見ると、週1回清掃の場合、一戸あたりの月額負担は、小規模物件ではおおむね2,000円から3,500円前後、中規模から大規模物件では1,500円から2,500円前後に収まるケースが多くなっています。
戸数が多い物件ほど清掃ルートの効率が上がり、スケールメリットによって一戸あたりの単価が下がりやすい傾向があります。
また、週2回清掃に増やした場合でも費用が単純に2倍になることはほとんどありません。実務上は、週1回清掃の約1.5倍から1.8倍程度に収まるケースが多く、頻度を上げることで1回あたりの作業負担が軽減され、その分単価が抑えられる仕組みになっています。
定期清掃の単価と費用目安
定期清掃は作業内容ごとに料金体系が異なります。代表的な作業と費用感を把握しておくことで、見積書の妥当性を判断しやすくなります。
床面の洗浄やワックス掛けは、共用廊下や階段などで実施されることが多く、相場は一平方メートルあたり200円から400円程度です。共用部の床面積が100平方メートルの場合、1回あたりの費用はおおよそ2万円から4万円前後になります。これを年4回実施すると、年間では8万円から16万円程度が目安になります。
外構や駐車場の高圧洗浄は、面積や汚れ具合によって金額に幅がありますが、1回あたり3万円から10万円程度に収まるケースが多くなっています。
共用部の窓ガラス清掃については、低層マンションであれば1回あたり1万円から3万円程度で対応できることが一般的です。ただし、高所作業やゴンドラ作業が必要になる場合は、これより高額になる傾向があります。
定期清掃全体の年間費用としては、中規模マンションで10万円から30万円前後に収まるケースが多く、年間予算の目安として覚えておくと判断しやすくなります。
特別清掃の料金目安
特別清掃は、通常の清掃よりも設備管理に近い性質を持つため費用は高めになりやすいものの、放置するとトラブルや大規模修繕につながりやすい重要な領域でもあります。
排水管の高圧洗浄は、1戸あたり3,000円から6,000円程度が目安で、20戸のマンションであれば全体で6万円から12万円程度になります。
貯水槽の清掃は規模によって金額に差があり、10トン未満の小規模であれば3万円から5万円前後、それ以上の規模になると5万円から15万円程度になるケースが一般的です。
共用部の照明や換気設備の清掃は、年1回実施で数万円程度が目安となります。
外壁洗浄は建物規模や足場の有無によって費用の幅が大きく、簡易的な洗浄であれば数十万円に収まる場合もありますが、足場設置が必要なケースでは数百万円規模になることもあります。
特別清掃は単純なコスト削減対象と考えるのではなく、計画的に実施すべき管理項目として捉えることが重要です。実施を先送りにすると、結果としてより高額な修繕費用につながるリスクがあります。
戸数・面積別の料金早見表
年間トータルの費用感を把握するために、戸数別の目安を整理すると次のようになります。
10戸未満の物件では、日常清掃は年間おおよそ12万〜24万円、定期清掃は年間5万〜10万円、特別清掃は年間5万〜15万円程度が目安となります。これらを合計すると、年間の清掃費用はおおむね20万〜40万円程度になります。
10戸から20戸程度の物件では、日常清掃が年間24万〜42万円、定期清掃が年間10万〜20万円、特別清掃が年間10万〜25万円ほどになり、合計すると年間40万〜70万円程度が目安です。
20戸から50戸程度の中規模物件では、日常清掃が年間42万〜72万円、定期清掃が年間15万〜35万円、特別清掃が年間15万〜40万円ほどとなり、年間の合計はおおよそ70万〜130万円程度になります。
50戸以上の大規模物件では規模や共用部の広さによって差が出ますが、年間150万円を超え、場合によっては300万円以上になるケースも珍しくありません。
ここで注目したいのは総額そのものよりも、一戸あたりの負担額です。規模が大きい物件ほど、スケールメリットが働き、一戸あたりの清掃コストは相対的に抑えやすくなる傾向があります。
清掃頻度の決め方と費用への影響
清掃費用を最適化するうえで、実はもっとも重要なのが「清掃頻度の設計」です。頻度が高すぎればコストが膨らみ、低すぎれば物件の印象が悪化し、クレームや退去につながります。
つまり、清掃は「削るかどうか」ではなく、費用対効果のバランスをどこに置くかがポイントになります。
ここでは、物件タイプ別の適正頻度と、頻度調整の考え方を整理します。
物件タイプ別の推奨清掃頻度
適切な清掃頻度は、すべての物件で一律に決められるものではありません。入居者の属性や建物の使われ方によって、汚れやすさや求められる清潔感の水準は大きく異なります。
ここでは代表的な物件タイプごとに、実務上の目安となる清掃頻度と、管理上の注意ポイントを整理します。
単身者向けワンルームマンション
単身者物件は在宅時間が短く、共用部の使用頻度も比較的低いため、日常清掃は週1回で十分なケースが多く見られます。
ただし、ゴミ出しマナーが悪い物件や、自転車置き場が散らかりやすい物件では、ゴミ置き場のみ頻度を増やすといった部分調整が有効です。
定期清掃は年3〜4回、特別清掃は年1回程度を基本ラインと考えるとバランスが取りやすくなります。
ファミリー向けマンション
ファミリー物件は、子どもの出入りやベビーカーの使用などで共用部が汚れやすくなります。
週2回程度の日常清掃を基準に考えると、建物の印象を維持しやすくなります。
特にエントランス・エレベーター・メールボックス周辺は、入居者や内見者の第一印象に直結するため、重点的に清掃されているかどうかが重要です。
定期清掃は隔月(年6回)前後、特別清掃は年1〜2回が目安になります。
高齢者の多い物件
高齢者が多い物件では、清潔感に対する要求水準が高い傾向があります。
週2〜3回の日常清掃を希望されるケースも多く、手すりや共用ベンチ、エレベーターボタンなど、接触頻度の高い箇所を丁寧に清掃できているかが満足度に直結します。
また、転倒リスクを防ぐ意味でも、床の汚れや滑りやすさは重要な管理ポイントになります。
テナント併設型(1階に店舗がある物件)
1階に商業テナントが入っている物件では、営業時間との兼ね合いから、清掃を早朝や夜間に実施せざるを得ないケースがあります。その結果、時間帯による割増料金が発生し、清掃コストが高くなりやすい傾向があります。
こうした物件では、すべての共用部を一律に高頻度で清掃するのではなく、エントランス周辺は重点的に清掃し、上階の共用廊下などは頻度をやや抑えるといったように、エリアごとにメリハリをつけた設計を行うことが現実的です。
頻度による料金比較
清掃頻度を週1回から週2回に増やした場合でも、費用が単純に2倍になることはほとんどありません。
実務上の目安としては、週2回の場合は週1回の1.5〜1.8倍程度、週3回の場合は週1回の2.0〜2.5倍程度に収まるケースが多くなります。
これは、清掃頻度が高いほど汚れの蓄積が少なくなり、1回あたりの作業負荷が軽減されるためです。また、業者側の巡回ルート効率も改善されるため、一定の割引が反映されやすくなります。
重要なのは、「頻度を増やした場合に、どのような効果が得られるのか」を明確にすることです。
例えば、クレームが減るのか、内見時の印象が良くなるのか、入居者満足度が上がるのかといった点が判断材料になります。
こうした改善が見込めない場合は、清掃頻度を上げる意味はあまりないと考えたほうがよいでしょう。
過剰・不足を判断するチェックポイント
今の清掃頻度が適正かどうかを判断するには、感覚ではなく「現地確認」が最も確実です。
まずおすすめなのは、清掃日の直前に物件を見に行くことです。
・エントランスにゴミや砂埃が目立たないか
・ゴミ置き場が散らかっていないか
・階段や廊下の隅に汚れが溜まっていないか
清掃前でもある程度きれいな状態が保たれているなら、頻度を下げても問題ない可能性があります。
逆に、次のような状態が見られる場合は、頻度不足のサインです。
・ゴミ置き場に臭いがこもっている
・エントランス床が黒ずんでいる
・入居者から清掃に関するクレームが出ている
・内見時に「共用部が暗い・汚い」と言われたことがある
こうした場合は、費用を削るのではなく、むしろ「清掃設計を見直すべきフェーズ」に入っている可能性があります。
季節変動を考慮した清掃設計
年間を通じて同じ頻度で清掃しているケースは多いものの、実際には季節によって汚れ方は大きく変わります。
春は花粉や砂埃が入り込みやすく、梅雨時期はカビや臭い、湿気によるトラブルが起こりやすくなります。秋は落ち葉が増え、冬は乾燥によって埃が目立ちやすくなる傾向があります。
そのため、春や秋は清掃頻度をやや高めに設定し、夏や冬は少し抑えるといった柔軟な設計ができる業者は、管理品質の面でも評価しやすいといえるでしょう。
年間契約の中で、こうした季節ごとの調整提案をしてくれるかどうかも、良い清掃業者を見極める重要なポイントになります。
管理会社委託と清掃業者直接契約の費用比較
清掃費用の見直しを検討する際、管理会社を通したままにするか、それとも清掃業者と直接契約するかで迷うオーナーは少なくありません。
委託形態によって費用構造が異なるため、選び方次第でコストに差が生まれることがあります。
一方で、単純に「直接契約のほうが安い」とも言い切れません。費用だけでなく、手間や管理負担、トラブル時の対応体制なども含めて判断することが重要です。ここでは、それぞれの特徴と注意点を整理します。
委託形態ごとの料金傾向
管理会社に清掃を含めて一括で委託している場合、清掃費用には管理会社の手配・管理に関する費用が含まれます。上乗せ幅は契約内容や管理範囲によって異なるため、相場より高く感じる場合は、業務内容と内訳を確認したうえで判断することが大切です。
この費用は、清掃業者の選定、品質管理、日程調整、クレーム対応などを代行するための対価という側面があります。オーナーの関与を減らし、運用を安定させたい場合はメリットになり得ます。
直接契約に切り替える際の注意点
管理会社経由から直接契約に切り替える場合は、現在の管理委託契約の内容を確認することが欠かせません。管理契約に清掃が含まれているケースでは、清掃のみを切り離せない場合もあります。
また、清掃を直接契約にする場合は、管理会社との役割分担が変わるため、連携方法や報告ルールを事前にすり合わせておくと安心です。費用面だけでなく、管理体制全体の運用がスムーズかという観点で判断することが重要です。
保険加入・損害補償の確認ポイント
清掃業者と直接契約する場合、必ず確認しておきたいのが保険と損害補償の有無です。清掃作業中には、ガラスを割ってしまう、床材を傷つけてしまう、設備を破損してしまうといった事故が起こる可能性があります。
信頼できる清掃業者であれば、こうした事故に備えて賠償責任保険に加入しています。見積もりの段階で、保険加入の有無、補償内容、補償金額の上限などを確認しておくと安心です。
また、契約書には、事故が発生した場合の責任範囲や対応方法が明記されていることが重要です。口頭だけのやり取りに頼ってしまうと、万一トラブルが起きた際に責任の所在を巡って揉める原因になります。直接契約を選ぶ場合ほど、こうした契約面の確認は丁寧に行う必要があります。
清掃費用の適正価格を見極める方法
清掃費用が相場の範囲内かどうかを判断するには、見積書を正しく読み解く視点が欠かせません。金額だけを見て高い・安いと判断してしまうと、実際の作業内容や品質とのバランスを見誤ってしまいます。
ここでは、オーナーが実務で使える形で、見積書の見方や比較のポイントを整理します。
見積書で確認すべき項目
見積書を受け取ったとき、まず確認したいのは「作業範囲が具体的に書かれているかどうか」です。
エントランス、廊下、階段、ゴミ置き場、エレベーター内など、対象箇所が明確に記載されていれば、どこまで清掃してもらえるのかが把握できます。「共用部一式」といった曖昧な表現だけの場合は、後から認識のズレが生じやすいため注意が必要です。
あわせて、作業頻度と作業時間も重要な確認ポイントです。週何回、1回あたりどの程度の時間作業するのかが分かれば、作業ボリュームをイメージしやすくなります。清掃員1名あたりの時間単価は、首都圏相場でおおむね1,500円〜2,500円前後が目安です。見積金額から逆算して、この範囲に大きく外れていないかを確認することで、価格の妥当性をある程度判断できます。
また、洗剤やゴミ袋などの消耗品が費用に含まれているのか、それとも別途請求なのかも事前に把握しておきたいポイントです。契約期間や解約条件、料金改定の条件なども、長期的なトラブルを防ぐために確認しておくと安心です。
相場から逸脱した料金の見分け方
提示された見積もりが相場より高いと感じた場合は、まずその理由を業者や管理会社に確認することが大切です。建物構造が特殊で作業効率が悪い、深夜や早朝に清掃を行っている、共用部の面積が一般的な物件より広いなど、合理的な理由がある場合も少なくありません。
一方で、説明が曖昧だったり、「うちはこの金額が普通です」といった根拠のない説明しか返ってこない場合は、相場から乖離している可能性があります。その場合は、他社からも見積もりを取得して比較することで、より客観的に判断しやすくなります。
逆に、極端に安い見積もりにも注意が必要です。相場より大幅に安い場合、作業時間が極端に短い、清掃範囲が限定されている、品質よりも価格重視で運営しているといった背景が隠れていることがあります。価格の安さだけで判断せず、「なぜこの金額で提供できるのか」を確認する姿勢が重要です。
適正価格を判断するためのチェック視点
適正価格を見極めるためには、「条件が整理されているかどうか」が非常に重要です。清掃範囲、頻度、作業時間などが明確になっていれば、提示された金額に納得感を持ちやすくなります。
また、現地状況を丁寧に確認したうえで提案してくれるか、質問への回答が分かりやすいか、提案内容に無理がないかといった点も重要な判断材料になります。
清掃は「契約して終わり」ではなく、長く付き合っていくサービスです。価格だけでなく、説明の丁寧さや誠実さ、コミュニケーションのしやすさも含めて判断することで、結果的に満足度の高い選択になりやすくなります。
清掃費用を最適化するコスト削減術
清掃費用を見直す際、「とにかく安くする」ことを目標にしてしまうと、かえって入居者満足度の低下やクレーム増加を招くリスクがあります。
重要なのは、品質を維持しながら無駄なコストだけを削ることです。
ここでは、実務の現場でも効果が出やすい現実的な最適化の考え方を紹介します。
清掃内容・頻度の見直しアイデア
まず取り組みやすいのが、「本当に今の清掃内容がすべて必要か」を一度棚卸しすることです。
例えば、ほとんど利用されていない共用スペースや、利用頻度の低い設備まで毎回同じ頻度で清掃されている場合、そこには見直し余地がある可能性があります。
また、共用部すべてを均一に清掃するのではなく、場所によって強弱をつけるという考え方も有効です。
内見時に必ず目に入るエントランスやメールボックス周辺は重点的に、あまり人が通らない裏階段や倉庫まわりはやや頻度を落とすといった調整だけでも、コストと品質のバランスはかなり変わります。
清掃頻度を変更する場合も、「一律に週1回減らす」といった単純な削減より、「ゴミ置き場だけは維持する」「共用廊下のみ調整する」といった部分的な設計のほうが、入居者満足度を保ちやすくなります。
季節に応じた清掃計画の立て方
共用部の汚れ方は、実は季節によって大きく変わります。
年間を通して同じ頻度・同じ内容で清掃を続けている場合、どこかで「やりすぎ」と「足りない」が同時に発生している可能性があります。
例えば、春は花粉や砂埃が入り込みやすく、床や窓まわりが汚れやすくなります。梅雨時期は湿気による臭いやカビが問題になりやすく、ゴミ置き場や排水まわりの管理が重要になります。秋は落ち葉が増え、冬は乾燥によって埃が目立ちやすくなります。
こうした季節特性に合わせて、「この時期はやや頻度を上げる」「この時期は抑える」といった柔軟な設計ができると、年間トータルの費用対効果は大きく改善します。
業者や管理会社がこうした提案をしてくれるかどうかは、サービス品質を見極める一つの指標にもなります。
管理会社への交渉で使える根拠データ
清掃費用の見直しを管理会社に相談する際、「高い気がするので下げてほしい」と感覚的に伝えても、なかなか話は進みません。
交渉を建設的に進めるためには、客観的な根拠を用意することが重要です。
例えば、本記事で紹介したような相場感と、自身の物件の費用を比較してみるだけでも、有効な材料になります。
「同規模の物件では、週1回清掃で1戸あたり月額1,500〜2,500円が目安とされているが、うちの物件はそれを大きく超えている」といった形で具体的に伝えられると、管理会社側も検討しやすくなります。
また、他社から取得した見積もりを提示するのも有効です。「同条件で別業者に見積もりを取ったところ、20%ほど安い金額だった」という事実があれば、感情論ではなく、事実ベースの相談になります。
さらに、清掃品質に不満がある場合は、「なんとなく汚い」ではなく、日付・場所・状態を写真で記録しておくと、非常に説得力が高まります。
こうした積み重ねがあると、管理会社側も「費用と品質のバランスを見直す必要がある」と納得しやすくなります。
まとめ
マンション共用部の清掃費用は、賃貸経営の収益性や物件の印象に直結する重要な経費です。
相場感と判断基準を持たずに任せきりにしていると、気づかないうちに過剰な費用を支払っているケースもあります。
日常清掃・定期清掃・特別清掃の役割を理解し、物件規模や入居者層に合った頻度と内容を設計することで、清掃費用は適正化できます。週1回清掃の場合、1戸あたり月額1,500円〜2,500円程度が一つの目安です。
見積書は金額だけで判断せず、作業範囲・頻度・作業時間・契約条件まで確認することが重要です。複数社から同条件で見積もりを取り比較すれば、適正価格が見えやすくなります。
コスト削減を考える際は、単純な頻度削減ではなく、清掃内容にメリハリをつけたり、季節に応じて設計を見直すことが効果的です。
本記事を参考に、ぜひ一度、ご自身の物件の清掃内容と費用を見直してみてください。