不動産投資では、入居率が収益の安定を左右します。空室が続くと家賃収入が減る一方で、ローン返済や管理費などの固定費はかかり続けるため、キャッシュフローが悪化しやすくなります。
ただし、入居率が伸びない原因は「物件」「賃料」「募集」「管理」のどこかに必ずあり、ポイントを押さえて対策すれば改善は十分可能です。
この記事では、不動産投資で入居率を上げる方法を、入居率の基本から原因の見つけ方、優先度の高い空室対策、管理会社の見直しポイントまで体系的に解説します。読み終えたときに「次に何をすべきか」が明確になり、入居率改善に向けて具体的に動ける状態を目指します。
この記事でわかること
この記事では、不動産投資で入居率を上げるためにオーナーが取るべき具体的な対策を、基礎から実践まで整理して解説します。
まず、入居率の定義や計算方法、目標とすべき数値を押さえたうえで、入居率が下がる原因を「物件」「賃料」「募集」「管理会社」の4つの視点から確認します。これにより、自分の物件で何がボトルネックになっているのかを判断できるようになります。
そのうえで、空室対策の優先順位の考え方や、管理会社を見直すべき判断基準を紹介し、入居率改善に向けて次に取るべき行動が明確になる構成になっています。
入居率の基礎知識
入居率を改善するためには、まずこの指標が何を意味し、どのように計算されるかを正確に理解することが重要です。
入居率は単なる数字ではなく、物件の収益力や競争力を示すバロメーターです。正しい知識を持つことで、管理会社との対話や投資判断において、より主体的な姿勢で臨むことができるようになります。
入居率とは
入居率とは、所有する賃貸物件のうち、実際に入居者がいる部屋の割合を示す指標です。たとえば、10戸のアパートのうち9戸に入居者がいれば、入居率は90%となります。この数値が高いほど、安定した家賃収入を得られていることを意味します。
入居率が重要視される理由は、不動産投資の収益構造にあります。家賃収入からローン返済や管理費、修繕費などを差し引いた金額がオーナーの手元に残る利益です。空室が発生すると、その分の家賃収入がゼロになる一方で、固定費は変わらず発生し続けます。
国土交通省が公表している住宅・土地統計調査によれば、全国の賃貸住宅における空室率は年々上昇傾向にあります。2018年の調査では、賃貸住宅の空室率が約18.5%に達したとされています。これは、およそ5戸に1戸が空室状態にあることを示しており、競争が激化していることがうかがえます。
入居率は物件の健康状態を測る指標であり、定期的にチェックし、低下傾向が見られた場合は早期に原因を特定して対策を講じることが求められます。
3つの計算方法
入居率の計算方法には主に3つのアプローチがあり、それぞれ異なる視点から物件の稼働状況を把握できます。どの方法を採用するかによって、数値の解釈が変わるため、管理会社や仲介会社が提示する入居率がどの方式で算出されているかを確認することが大切です。
1つ目は「時点入居率」です。これは、特定の日時における入居状況を示すもので、計算式は「入居戸数÷総戸数×100」となります。たとえば、10月1日時点で8戸が入居していれば、時点入居率は80%です。シンプルでわかりやすい反面、一時点のスナップショットに過ぎないため、年間を通じた稼働状況を反映しません。
2つ目は「稼働日数ベースの入居率」です。こちらは一定期間における各部屋の稼働日数を合計し、全部屋の総稼働可能日数で割る方式です。計算式は「(各部屋の入居日数の合計)÷(総戸数×期間日数)×100」となります。年間365日で10戸の物件の場合、総稼働可能日数は3,650日です。実際の入居日数が3,285日であれば、稼働日数ベースの入居率は90%となります。
3つ目は「賃料ベースの入居率」です。これは実際に得られた賃料収入を、満室時に得られるはずの賃料収入で割る方式です。家賃が異なる部屋が混在している場合に有効で、収益への影響をより正確に把握できます。
管理会社によって採用する計算方式が異なるため、入居率を比較する際は同じ基準で算出されているかを必ず確認してください。
目標とすべき入居率の目安
不動産投資において、目標とすべき入居率は一般的に95%以上とされています。この数値は、年間を通じて空室期間を最小限に抑え、安定した収益を確保するための目安です。
入居率95%という数値の根拠を具体的に見てみましょう。10戸のアパートで年間稼働日数ベースの入居率95%を達成するということは、年間で約18日程度の空室日数に抑えることを意味します。入居者の入れ替え時には、退去後の清掃や原状回復、次の入居者募集、審査、契約といった一連のプロセスが発生します。これらを考慮すると、1回の入れ替えで2〜4週間程度の空室期間が生じることは珍しくありません。
したがって、入居率95%以上を維持するためには、退去から次の入居までの期間を極力短縮する努力が必要です。具体的には、退去予告を受けた時点で募集を開始する、原状回復工事を迅速に完了させる、魅力的な募集条件を設定するといった対策が求められます。
ただし、物件の築年数や立地条件によって、達成可能な入居率は異なります。築30年以上の物件や駅から徒歩15分以上の立地では、90%程度を現実的な目標として設定することも検討すべきでしょう。重要なのは、自分の物件の特性を踏まえた現実的な目標を設定し、継続的に改善に取り組むことです。
入居率が低い原因
入居率を改善するためには、まず低下の原因を正確に特定することが不可欠です。原因を把握せずに対策を講じても、効果が出ないばかりか、無駄なコストを発生させてしまう可能性があります。
入居率が低下する原因は、主に「物件の競争力」「賃料設定」「募集活動」「管理会社の対応」の4つに分類できます。自分の物件がどのカテゴリーに問題を抱えているかを見極めることが、効果的な対策への第一歩となります。
物件の競争力低下
入居率低下の大きな要因として、物件そのものの競争力が低下していることが挙げられます。築年数の経過による建物の老朽化や、設備の陳腐化によって、周辺の競合物件と比較したときに見劣りしてしまうケースです。
国土交通省の調査によれば、賃貸住宅に入居する際に重視する条件として、「設備の充実度」を挙げる人の割合は年々増加しています。特にインターネット無料、宅配ボックス、浴室乾燥機などの設備は、多くの入居希望者が求める条件となっています。これらの設備が備わっていない物件は、同じ賃料帯の競合物件に比べて選ばれにくくなります。
また、内装の古さも競争力を低下させる要因です。壁紙の汚れや変色、フローリングの傷、水回りの劣化などは、内見時に入居希望者にマイナスの印象を与えます。特に水回りの清潔感は入居決定に大きく影響するとされており、キッチンや浴室、トイレの状態は入念にチェックすべきポイントです。
物件の競争力を客観的に評価するためには、周辺の競合物件の募集情報をリサーチし、設備や内装、条件を比較することが有効です。自分の物件がどの点で劣っているかを把握することで、優先的に改善すべき箇所が明確になります。
賃料設定の問題
賃料設定が周辺相場と乖離していることも、入居率低下の主要な原因のひとつです。賃料が高すぎれば入居希望者から敬遠され、空室期間が長期化します。一方で、安すぎる賃料設定は収益を圧迫し、物件の維持管理に必要な資金が不足する事態を招きかねません。
賃料相場は常に変動しています。周辺に新築物件が建設されたり、人口動態が変化したりすることで、かつて適正だった賃料が現在では高く感じられるようになることもあります。不動産情報サイトや国土交通省が提供する不動産取引価格情報などを活用し、定期的に相場をチェックすることが重要です。
賃料設定を見直す際には、単純に値下げするだけでなく、付加価値を提供することで賃料を維持する方法も検討すべきです。たとえば、インターネット無料や家具家電付きといったサービスを追加することで、実質的な価値を高めることができます。
また、賃料と初期費用のバランスも重要です。敷金・礼金が高額に設定されていると、月額賃料が適正でも入居のハードルが上がります。最近では敷金・礼金ゼロの物件も増えており、初期費用の負担軽減は入居促進に効果的な施策となっています。
募集活動の不足
物件自体に問題がなくても、募集活動が不十分であれば入居者は集まりません。インターネットが普及した現在、入居希望者の多くは不動産ポータルサイトで物件を検索しています。ポータルサイトへの掲載状況や、掲載内容の質が入居率に直接影響します。
募集活動で最も重要なのは、物件写真のクオリティです。暗い写真や散らかった状態の写真は、入居希望者にネガティブな印象を与えます。明るく清潔感のある写真を撮影し、物件の魅力を最大限に伝えることが求められます。プロのカメラマンに撮影を依頼することも、費用対効果の高い投資といえます。
物件の紹介文も軽視できません。設備や周辺環境のメリットを具体的に記載し、入居後の生活をイメージできる内容にすることが大切です。駅からの距離、近隣の商業施設、学校区などの情報は、入居希望者が物件を選ぶ際の重要な判断材料となります。
さらに、複数のポータルサイトに掲載することで露出を増やすことも効果的です。管理会社によっては、特定のポータルサイトにしか掲載していないケースもあります。募集活動の実態を把握し、改善の余地がないか確認することが重要です。
管理会社の対応
管理会社の対応が入居率に大きく影響するケースも少なくありません。入居者募集への積極性、問い合わせへのレスポンス速度、内見時の対応など、管理会社の姿勢が入居率を左右することがあります。
管理会社が積極的に入居者募集に取り組んでいるかどうかは、定期的な報告の有無や内容でも判断できます。空室状況の報告が滞っていたり、具体的な募集活動の内容が不明だったりする場合は、管理会社の対応に問題がある可能性があります。
内見対応も重要なポイントです。問い合わせから内見までの日程調整がスムーズでなければ、入居希望者は他の物件に流れてしまいます。また、内見時の案内が不親切だと、物件の印象が悪くなり、成約につながりにくくなります。
管理会社の対応に問題があると感じた場合は、まず具体的な要望を伝え、改善を求めることが第一歩です。それでも状況が改善しない場合は、管理会社の変更を検討すべきタイミングかもしれません。
入居率を上げる方法
入居率が低下している原因が特定できたら、次は具体的な改善策の実行です。ここでは、オーナーが取り組める実践的な方法を紹介します。
改善策は一度にすべてを実行する必要はありません。費用対効果や緊急度を考慮し、優先順位をつけて段階的に取り組むことが現実的です。まずは低コストで実施できる施策から始め、効果を検証しながら次のステップに進むことをおすすめします。
リフォーム・設備投資
物件の競争力を高めるためのリフォームや設備投資は、入居率改善に直接的な効果をもたらします。ただし、投資額と期待できるリターンのバランスを慎重に見極めることが重要です。
費用対効果が高いとされる設備投資の代表例として、インターネット無料設備があります。全国賃貸住宅新聞の調査によれば、入居者が求める設備ランキングでインターネット無料は常に上位にランクインしています。導入費用は1戸あたり月額1,000〜2,000円程度で、賃料を値下げするよりも収益面で有利なケースが多いです。
水回りのリフォームも入居率改善に効果的です。キッチンや浴室、トイレは入居希望者が重視するポイントであり、清潔感のある状態に整備することで内見時の印象が大きく向上します。全面的なリフォームが難しい場合は、水栓金具の交換や鏡の新調など、部分的な改善でも効果が期待できます。
壁紙や床材の張り替えは、比較的低コストで実施できるリフォームです。特に退去後の原状回復工事のタイミングで、アクセントクロスを取り入れるなどの工夫をすることで、物件の印象を一新できます。
設備投資を検討する際は、ターゲットとする入居者層のニーズを把握することが大切です。単身者向け物件であればセキュリティ設備、ファミリー向け物件であれば収納スペースの拡充など、入居者像に合わせた投資が効果的です。
賃料・初期費用の見直し
賃料や初期費用の見直しは、即効性のある入居率改善策です。ただし、単純な値下げは収益を圧迫するため、戦略的なアプローチが求められます。
まず、周辺相場を徹底的にリサーチすることから始めましょう。同じエリア、同じ間取り、同じ築年数帯の物件がいくらで募集されているかを調べ、自分の物件の賃料が適正かどうかを判断します。不動産ポータルサイトで競合物件を検索し、条件を比較することで相場観を養うことができます。
賃料の値下げを検討する前に、フリーレント(一定期間の賃料無料)の活用を考えてみてください。たとえば、入居後1か月間の賃料を無料にするフリーレントを設定すれば、月額賃料を維持しながら入居のハードルを下げることができます。年間の収益で見れば、賃料を恒常的に下げるよりも損失が限定的です。
敷金・礼金の見直しも効果的です。特に礼金をゼロにすることは、入居希望者の初期費用負担を軽減し、入居決定を後押しする強力な施策となります。敷金については、原状回復費用の担保として一定額を設定しておくことが望ましい場合もありますが、入居促進を優先する場合は減額や敷金ゼロも選択肢となります。
仲介手数料の負担方法も見直しのポイントです。入居者負担をなくし、オーナーが全額負担する「AD(広告料)」を設定することで、仲介会社が積極的に自分の物件を紹介してくれるようになります。
募集活動の強化
募集活動を強化することで、物件の露出を増やし、入居希望者からの問い合わせを増加させることができます。管理会社任せにせず、オーナー自身も募集状況を把握し、改善を働きかけることが重要です。
物件写真の見直しは、募集活動強化の第一歩です。現在の掲載写真を確認し、明るさや清潔感、撮影アングルが適切かどうかをチェックしましょう。可能であれば、晴れた日中に自然光を活かして撮影し直すことで、物件の印象が大きく向上します。バーチャルツアーや360度パノラマ写真の導入も、内見前の段階で物件の魅力を伝える有効な手段です。
物件紹介文の改善も重要です。設備の羅列だけでなく、入居後の生活をイメージできる文章を心がけましょう。「駅から徒歩5分でアクセス良好」「近隣にスーパーやコンビニがあり日常の買い物に便利」「南向きバルコニーで日当たり抜群」など、具体的なメリットを伝えることが効果的です。
複数のポータルサイトへの掲載を依頼することも検討してください。大手ポータルサイトに加え、地域密着型のサイトや外国人向けサイトなど、ターゲットに応じた媒体に掲載することで、より多くの入居希望者にリーチできます。
SNSを活用した情報発信も効果的な手段です。物件の写真や周辺環境の紹介をInstagramやTwitterで発信することで、従来の募集チャネルではリーチできなかった層にアプローチできる可能性があります。
入居者満足度の向上
既存入居者の満足度を高めることは、長期入居につながり、結果として入居率の安定に寄与します。退去を減らすことは、新規入居者を獲得することと同様に重要な入居率改善策です。
入居者からの問い合わせやクレームへの迅速な対応は、満足度向上の基本です。設備の故障や騒音問題など、入居者が困っている状況に対して素早く適切に対処することで、信頼関係が構築されます。管理会社の対応が遅い場合は、改善を求めるか、対応品質の高い管理会社への変更を検討すべきです。
共用部分の清掃や維持管理も入居者満足度に大きく影響します。エントランスや廊下、ゴミ置き場などの清潔さは、入居者が日常的に目にする部分です。定期的な清掃が行き届いていない物件は、入居者の不満につながり、退去の原因となりかねません。
更新時の条件交渉も入居者との関係を維持する重要なポイントです。長期入居者に対しては、更新料の減額や設備のグレードアップなど、継続入居のインセンティブを提供することも有効です。新規入居者を募集するコストと比較すれば、既存入居者を維持するための投資は十分にペイするケースが多いです。
管理会社の見直しで入居率を改善する
入居率の改善において、管理会社の役割は非常に大きいです。管理会社が適切に機能していなければ、オーナーがどれだけ努力しても効果は限定的になってしまいます。
管理会社への不満を抱えながらも、変更の手間や新しい会社への不安から、現状を維持しているオーナーは少なくありません。しかし、管理会社の見直しは入居率改善の切り札となる可能性があります。ここでは、管理会社変更の判断基準と、良い管理会社の見極め方について解説します。
管理会社を変えるべき判断基準
管理会社を変更すべきかどうかの判断は、感情的にではなく、客観的な基準に基づいて行うべきです。以下のような状況が当てはまる場合は、管理会社の変更を真剣に検討するタイミングといえます。
空室期間が長期化しているにもかかわらず、管理会社から具体的な改善提案がない場合は要注意です。入居率改善に向けた施策を積極的に提案し、オーナーと二人三脚で取り組む姿勢がある管理会社と、ただ現状を報告するだけの管理会社とでは、結果に大きな差が出ます。
報告頻度や内容に問題がある場合も、変更を検討すべきサインです。空室状況、募集活動の進捗、問い合わせ件数、内見件数などの情報が定期的に報告されていなければ、オーナーは適切な判断を下すことができません。報告を求めても改善されない場合は、管理体制そのものに問題があると考えられます。
問い合わせや依頼に対するレスポンスが遅い管理会社も、変更の候補となります。オーナーへの対応が遅い管理会社は、入居希望者や既存入居者への対応も同様に遅い可能性が高いです。入居者からのクレーム対応の遅れは退去につながり、入居希望者への対応の遅れは成約機会の損失につながります。
管理委託費に見合ったサービスが提供されているかどうかも、重要な判断材料です。管理費が安くても、サービスの質が低ければ結果的にコスト高になります。逆に、多少費用が高くても、入居率向上に貢献してくれる管理会社であれば、投資価値があります。
良い管理会社の見極め方
管理会社を変更する場合、次の管理会社選びは慎重に行う必要があります。良い管理会社を見極めるためのポイントを押さえておきましょう。
入居率の実績は、管理会社を評価する最も重要な指標のひとつです。管理している物件全体の平均入居率を確認し、95%以上を維持している管理会社であれば、入居者募集のノウハウを持っていると期待できます。ただし、入居率の計算方法が会社によって異なる場合があるため、算出基準も合わせて確認することが大切です。
募集活動の具体的な内容を確認することも重要です。どのポータルサイトに掲載するか、写真撮影はどのように行うか、物件紹介文の作成方針はどうかなど、具体的な募集手法について説明を求めましょう。「お任せください」という曖昧な回答ではなく、具体的かつ体系的な説明ができる管理会社は信頼できます。
地域に精通しているかどうかも見極めポイントです。物件が所在するエリアの賃貸市場動向、競合物件の状況、入居者ニーズなどを把握している管理会社であれば、適切なアドバイスを受けられます。地元の不動産仲介会社とのネットワークを持っているかどうかも確認しておくとよいでしょう。
コミュニケーションの姿勢も重要な判断材料です。初回の問い合わせや相談に対するレスポンスの速さ、説明のわかりやすさ、オーナーの要望に対する柔軟性などを観察することで、契約後の対応品質を予測できます。
管理会社変更の流れ
管理会社を変更する場合、一定の手続きが必要です。スムーズに移行するために、流れを把握しておきましょう。
まず、現在の管理委託契約書を確認し、解約条件を把握することから始めます。多くの場合、解約には1〜3か月前の予告が必要とされています。解約時の違約金が設定されているケースもあるため、契約内容を詳細に確認しましょう。
新しい管理会社を選定し、見積もりを取得します。複数の管理会社から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することが重要です。管理委託費だけでなく、入居者募集にかかる費用、原状回復工事の手配方法、緊急時の対応体制なども確認しておきましょう。
新しい管理会社が決まったら、現在の管理会社に解約通知を行います。この際、引継ぎに必要な書類や情報のリストを提示し、円滑な移行を依頼します。賃貸借契約書、入居者情報、家賃の入金状況、修繕履歴などが引継ぎの主な項目です。
入居者への通知も必要です。管理会社が変わること、家賃の振込先が変更になる場合はその詳細を書面で通知します。入居者に不安を与えないよう、サービス品質の向上を目的とした変更であることを丁寧に説明することが望ましいです。
管理会社の変更は手間がかかりますが、入居率の改善という成果につながる可能性を考えれば、投資価値のある取り組みです。
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入居率が高い物件の特徴
入居率が高い物件には共通する特徴があります。これらの特徴を理解し、自分の物件に取り入れることで、入居率の向上を図ることができます。
入居率の高さは、物件の立地条件、建物・設備の充実度、そして管理体制の3つの要素が複合的に作用した結果です。それぞれの要素について、具体的に見ていきましょう。
立地条件
立地条件は、入居率を左右する最も基本的かつ重要な要素です。立地は後から変えることができないため、物件購入時に十分な検討が必要ですが、既存物件でも立地の強みを最大限に活かす方法はあります。
駅からの距離は、入居率に大きく影響します。一般的に、駅から徒歩10分以内の物件は入居者から人気があり、空室が埋まりやすい傾向にあります。徒歩15分以上になると、入居者層が限定されるため、賃料設定や設備で差別化を図る必要が出てきます。
周辺の生活利便施設の充実度も重要なポイントです。スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどが徒歩圏内にある物件は、日常生活の利便性が高く評価されます。募集活動においては、これらの施設への距離や営業時間などを具体的にアピールすることで、物件の魅力を伝えることができます。
ターゲット層に応じた立地の強みを訴求することも効果的です。学生向け物件であれば大学へのアクセス、ファミリー向けであれば学校区や公園の充実、単身者向けであれば繁華街や飲食店街へのアクセスなど、入居者層のニーズに合わせた立地の魅力をアピールしましょう。
立地条件に恵まれていない物件でも、賃料設定や設備の充実で補うことは可能です。駅から遠い物件であれば、駐車場を完備する、自転車置き場を充実させるなどの対策が考えられます。
建物・設備の充実度
建物や設備の充実度は、入居者の快適な生活を支える重要な要素です。入居率が高い物件は、入居者ニーズを的確に捉えた設備投資を行っています。
セキュリティ設備の充実は、特に女性や単身者にとって重要な判断材料です。オートロック、防犯カメラ、TVモニター付きインターホンなどのセキュリティ設備が整っている物件は、安心感から選ばれやすくなります。これらの設備は後付けでも導入可能なものが多いため、未設置の場合は導入を検討する価値があります。
水回りの設備も入居率に大きく影響します。独立洗面台、浴室乾燥機、温水洗浄便座などは、多くの入居者が求める設備です。全国賃貸住宅新聞の「入居者が求める設備ランキング」でも、これらの水回り設備は常に上位にランクインしています。特に築年数が経過した物件では、水回りのリフォームが入居率改善の決め手となるケースも少なくありません。
収納スペースの充実度も見落としがちなポイントです。ウォークインクローゼットやシューズクローゼットなど、十分な収納スペースがある物件は、入居者満足度が高く、長期入居につながりやすいです。既存物件でも、クローゼット内の棚を増設するなどの工夫で収納力を向上させることができます。
インターネット環境の整備も現代では必須といえます。特に在宅勤務やオンライン学習の普及により、高速インターネット回線の需要は高まっています。インターネット無料サービスの導入は、入居率向上に効果的な投資のひとつです。
管理体制
入居率が高い物件に共通するもうひとつの特徴が、充実した管理体制です。建物や設備がいくら優れていても、管理が行き届いていなければ入居者の満足度は低下し、退去につながります。
共用部分の清掃が行き届いていることは、入居率の高い物件の基本条件です。エントランス、廊下、階段、エレベーター、ゴミ置き場など、入居者が日常的に利用する共用部分が清潔に保たれていれば、物件への愛着が生まれ、長期入居につながります。内見時にも好印象を与え、成約率の向上に寄与します。
入居者からの問い合わせや修繕依頼への迅速な対応も重要です。設備の故障や騒音問題など、入居者が困っている状況に対して素早く適切に対処できる体制が整っていれば、入居者の信頼を得ることができます。24時間対応のコールセンターを設置している管理会社もあり、こうしたサービスは入居者の安心感につながります。
定期的な建物点検と予防保全も、入居率の維持に貢献します。設備の劣化や故障を早期に発見し、問題が大きくなる前に対処することで、入居者の不満を未然に防ぐことができます。計画的な修繕を行うことで、突発的な大規模修繕による費用負担も軽減できます。
オーナーへの報告体制が整っている管理会社は、物件の状況を適切に把握し、タイムリーな意思決定を行うことを可能にします。入居率、家賃の入金状況、入居者からの要望、修繕履歴などの情報が定期的に報告される体制は、オーナーにとって大きな安心材料となります。
まとめ
不動産投資における入居率の改善は、収益を安定させるための最重要課題です。入居率が低下している場合は、まず原因を正確に特定することが改善の第一歩となります。物件の競争力、賃料設定、募集活動、管理会社の対応という4つの観点から自分の物件を分析し、どこに問題があるかを見極めましょう。
入居率を上げるための具体的な方法として、リフォーム・設備投資、賃料・初期費用の見直し、募集活動の強化、入居者満足度の向上を紹介しました。これらの施策は一度にすべてを実行する必要はなく、費用対効果と優先度を考慮しながら段階的に取り組むことが現実的です。
管理会社の対応に不満を感じている場合は、管理会社の見直しも有効な選択肢です。空室期間が長期化しているにもかかわらず具体的な改善提案がない、報告が不十分、レスポンスが遅いなどの状況があれば、変更を検討するタイミングといえます。良い管理会社を見極めるポイントを押さえ、入居率向上のパートナーとなる管理会社を選びましょう。
入居率95%以上を目標に、継続的な改善に取り組むことで、不動産投資の収益は安定します。この記事で紹介した内容を参考に、今日からできることから始めてみてください。物件の状況を客観的に分析し、適切な対策を講じることで、入居率は必ず改善できます。